那須町
更新日 令和5年8月9日
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概要
那須町は、北南に東北新幹線、JR東北本線(高久駅、黒田原駅、豊原駅)と東北自動車道(那須IC、那須高原スマートIC)が縦断している。また、JR東北線を中心に東と西に民間バス路線2本(那須線、伊王野線)が走っている。このJR東北本線と2つの民間バス路線を基幹軸として捉え、それを補う形で2路線の町民バス(湯本線、追分・黒磯駅線)と町内2つの運行区域(北部運行区域、南部運行区域)とするデマンド型乗合交通を運行している。町民バスは2路線とも、1日4往復、全区間均一料金となっている。デマンド型乗合交通は、1日5往復、利用料金はバスと同額となっている。停留所は、自宅側停留所は町内各所のゴミステーションを基準に設定し、目的地側停留所は主要な施設や店舗にあらかじめ設定されている。
那須町は、平成24年度に「生活交通に関する公共交通体系の構築」「地域特性に応じた運行形態の設定」「他の公共移送サービスとの連携による効率化の実現」を基本方針とした「那須町地域公共交通総合連携計画」を策定し、目標達成に向け取り組みをはじめている。平成25年10月には、那須町デマンド型乗合交通の実証運行を開始し、平成28年4月からは本格運行に移行している。その後、平成25年の交通政策基本法公布等により、まちづくりとの連携、広域性確保などに配慮した的確な計画を策定した際に、その計画推進に国の一層の支援を受けることが可能となることから、急速に進む少子高齢化や人口減少への対応など、持続可能でまちづくりと一体となった公共交通体系を構築することを目的として、平成29年4月に「那須町地域公共交通網形成計画」を策定し、国等の支援を受けながら、デマンド型乗合交通および那須町民バスの見直し等、地域公共交通活性化を目的とした事業を展開してきている。近年の地域公共交通にはさらなる高齢化の進展や多様化するライフスタイルへの対応が求められたこと、令和2年1月以降には新型コロナウイルス感染拡大に伴い「不要不急」とされる外出が制限されるとともに、見知らぬ人と相乗り利用となる地域公共交通の利用は敬遠され、交通事業は大きな打撃を受けたこと、観光業も大きな打撃を受け、那須高原周遊バス「きゅーびー号」が利用不振から休止に至っていたことなど、また、コロナ禍を通じて、テレワークや宅配利用等の「ニューノーマル」が進展し、ライフスタイルの多様化が加速化していることに加え、自動運転やAI技術等の進展がみられる中で、令和2年11月には改正地域公共交通活性化再生法が施行され、自治体における「地域公共交通計画」の策定が努力義務化され、那須町地域公共交通網形成計画が令和3年度末で計画期間が終了となることから、「暮らしやすい那須町」の実現に向け、地域の交通資源の活用、持続可能性、まちづくりとの連携等に留意した「地域公共交通計画」を策定し、引き続き国等の支援を受けながら、地域公共交通活性化を目的とした事業展開を進めている。
内容
1.町民バス
町民バスは湯本線、追分・黒磯駅線の2路線で、どちらの路線も、2時間から4時間の間隔で、1日4往復、片道約1時間で運行していた。運賃は全区間均一で、1回乗車当たり、高校生以上が500円、小・中学生および60歳以上が300円で、近隣市と比べても高額で、利用も伸びていない状況から抜本的な見直しを求められていた。また、住民からも運賃の引き下げの意見は多いものの、町からの支出が年間2,400万円となっており、収支率を考慮すると運賃の改定はできない現状にあるようであったが、今後那須地域定住促進計画などで、近隣市町のバスと相互の乗り入れをする際に相互乗り入れを検討しており、その場合の料金格差について、課題となっているようであった。
2.デマンド型乗合交通
デマンド型乗合交通については、北部と南部の2つの運行区域があり、両区域とも週3日の黒田原駅行があり、北部運行区域については、広谷地行が毎日運航してた。1日の運行は5往復で、自宅側停留所はゴミ集積ステーションを基本に設定し、自宅に近い場所から乗れるように配慮しているが、目的地側停留所については固定されており、利用に不便を感じている方も多いようであった。令和4年12月までは、乗車は前日までの予約制であったが、令和5年1月からは当日1時間前までの予約による運航を、運行委託会社の協力で試験的に実施していた。運行に係る経費は予算額3,100万円であるが、運行状況からかそこまでの支出はない状況のようであった。しかし、町民バスの収支率8.3%に対し、デマンド型は4.7%であることから、こちらについても町民バス同様、令和5年度中に見直しを求められていた。
3. 那須町バスブック
那須町では、バスブックを平成30年度から、毎年内容を更新し、全戸配布していた。掲載内容は、町民バス、デマンド型乗合交通に関する情報のほか、民間バス2路線の運行時刻、通院利用プラン等を掲載し、発行は事業者からの広告収入により発行していた。令和4年度からは、しっかりとした情報提供をして、公共交通利用者の増加を図るため、事業として計画に位置付けていた。また、那須地域定住自立圏地域公共交通計画の改定に合わせ、今後は隣接する那須塩原市の「ゆーバス」等との接続状況の掲載も検討していくとしていた。
4.観光周遊バス
那須町の北西部に、温泉および観光施設が集積している。町民バスもJR東北本線の駅から観光地まで、民間バスも隣接する那須塩原市から運航しているが、本数や運行経路から、那須町観光協会が主体となって観光地を周遊する「きゅーびー号」を運行していた。しかし、コロナ禍による利用不振から休止に至っていたが、令和4年7月1日から運行主体を民間バス会社とし、那須町、那須町観光協会、那須町商工会、那須温泉旅館協同組合が協力する形で運行を再開していた。
5.民間路線バスへの補助
民間バス路線の維持対策補助金ということで、2路線に年間1,200万円の補助を実施していた。1路線については、国と県の補助金があることから300万円程度の補助で済んでいるが、乗車密度の低い路線については町からの補助しかなく、年間800万円を路線維持のために支出していた。町はJRと民間バス路線のフィーダー交通としての事業を実施していたが、基幹軸の維持にも多くの投資を強いられている現状であった。
6.乗車人数増への取組
(1)小学校、高齢者へのPR
出前講座として、小学生にバスの乗り方教室を、デマンドに未登録や登録後利用のない高齢者を対象に体験乗車を実施し、利用の促進に努めていた。
(2)県立高校1日体験学習における公共交通体験事業
翌年度に高校生となる中学校3年生を対象に県立高校1日体験学習の際に、通学手段として公共交通の利用を呼び掛けていた。
7.助け合い交通実施団体との連携
公共交通活性化協議会を開催する中で、ボランティアで移動の手助けを実際に行っている委員がいたことから、それらの団体との連携模索を開始、実務者の担当者会議の実施までこぎつけていた。ガソリン代相当であれば運送行為の登録も必要なくできることから、自発的に自然に繋がってできた5団体あるが、それぞれ個人的な繋がりであったことから、その間をネットワーク的につなぐ方法やボランティア自体が既に高齢化しており、後継者が問題となっているようであった。
所見
那須町では、持続可能でまちづくりと一体的な公共交通体系を構築することを目的として、地域公共交通計画策定にあたり、現況整理やアンケート調査・町づくり計画との整合性など、地域公共交通に係わる現状と問題を細かく検証をしていた。瑞穂町においても、民間交通も含めた総合的交通網の構築が重要であることから、あらゆるデータを蓄積・検証し、「瑞穂町地域公共交通計画」策定に早期に着手すべきである。那須町では、令和4年4月に策定した計画について、常に見直しを実施し、令和5年度には町民バスやデマンド型乗合自動車の見直しに向け動いていた。瑞穂町でもコミュニティバスの実証実験だけに傾注すること無く、他の公共交通手段についても模索し、早期の導入を目指すべきである。最後に、那須町では、小学校、高等学校や高齢者へPRを行い利用者の増加を図っていた。職員による出前講座で実施可能なことから町も実施を検討してはどうか。
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