可児市

更新日 令和5年8月9日

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概要

1 可児市の組織体制
可児市は、瑞穂町の社会教育課にあたる部署が「文化スポーツ課」であり、教育委員会ではなく市部局に配置されている。

2 可児市の地域環境
14地区のすべてに室内スポーツが可能な体育館またはホール、文化活動が可能な会議室が常設されている地区センターが設置されている。

3 市内の地域のスポーツを通した青少年育成
総合型スポーツクラブの中にスポーツ少年団が組織されている。

※スポーツ少年団指導者はJSPO公認スポーツ指導者資格の保有が必須となっている。(JSPO:日本スポーツ協会)

4 現在までの流れ

(1) 令和2年 スポーツ庁、文化庁、文部科学省の連名による通知

令和2年9月スポーツ庁、文化庁、文部科学省の連名で「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について(通知)」
これまで、教育委員会内の部活動のクラブ移行を検討する委員会で研究してきたが、地域移行の通知の内容から、文化スポーツ課が担当するのが妥当との判断により、教育委員会ではなく文化スポーツ課が担当することとなった。
文化スポーツ課が担当することから、まず、学校のクラブ活動の実情を把握する必要があり、教育委員会をどう巻き込むかが最初の課題であった。

(2) 令和3年 準備会設置および活動指針策定

「可児市中学生期のスポーツ・文化活動振興会議準備会」を設置、さらに学校との連携のために「部活動調査委員会」を立ち上げた。また、「可児市中学生期のスポーツ・文化活動指針」を策定した。

(3) アンケート調査・ヒアリング実施

生徒・教職員に対してアンケート調査・ヒアリングを実施。アンケート調査から次の点に着目した。
・ 多くの生徒がスポーツや文化活動は部活動以外ほとんどやってない。
・ 多くの生徒が放課後の部活動時間が短いと感じているが、土・日は無いほうがいいと思っている。
・ ほとんどの教職員が地域クラブで指導者になることを希望していない。
・ 教職員から、指導方針やトラブルの対応、校舎の利用に関する意見等。

(4) アンケート調査結果の課題

指導者の確保が課題
・ 休日も指導をしたい教職員はほとんどいないため、地域で指導者を準備しないといけない。
・ 国の補助金は各学校指導者2名分。スポーツ系16クラブ、文科系5クラブを有する中学校もあり、2人では不可能。地域クラブや学校・保護者との連携が必須
・ 平日は学校部活動、休日は地域クラブ活動となり指導者が変わるため、顧問や指導者でどのように連携していくか。
・ 生徒間でトラブルが起こった場合の対応方法について検討が必要。
・ 教職員がいなくても校舎を利用できるのか。
・ 大会は運営・役員が教職員となっているため、地域クラブ活動に移行しても休日に実施される大会は教職員が行かないといけない。

(5) アンケート調査結果に対する対応

指導者確保へ
・ 指導者資格のハードルを下げる。資格の有無はこだわらない。
・ 指導者集めは保護者および部活動顧問が中心となり行っている。

指針の改定および各種手引きの策定
・ 課題を踏まえて、指導内容等の共通理解を図るよう、定期的に会議を開催することや大会の運営に関して指針を改定した。
・ 地域部活動の手引き、学校施設利用の手引き、地域クラブ育成員の手引きを策定した。

(6) 保護者説明

担当課が各学校を訪問し、保護者説明(延べ100回以上)。最初はすごい反響で怒られた。説明を重ねていくうちに、不安の声は減っていった。意見が出たらすぐにその場で修正するようにした。意見が反映されれば、意見をたくさんもらえて、さまざまな課題が見つかった。そのたびに手引書の修正は何回も行った。

(7) 課題解決に向けて

意見を聞く機会をなるべく多くつくり、課題をたくさん頂いて、解決していった。また、試行実施の準備をする中で、机上でやることには限界があり、やってみないと分からないと感じた。
教職員、保護者も、実施が決まってから本気で考え、意見が出てきはじめた。
・ 外部指導者は生徒間の人間関係や個性を正確に知ることができないので、休日に出勤していなくても顧問として責任を持ってもらうように要請を行った。
・ 休日の部活動については、指導者の存在の有無にこだわらず、保護者会(地域部活動・保護者クラブ)から地域部活動の「活動届出書」等を提出してもらう。これを受けて、指導者不在の部活動に対する指導者派遣の協力依頼を各連盟に行う。
・ いろいろなデータを収集し、話し合いを繰り返しても実際にやってみなければ分からない。10月は部活動の生徒たちのメンバー構成が変わる時期であり、このタイミングで地域移行の試行実施をすることとした。

(8) 財政上の課題

試行実施期間中は、教職員は特殊勤務手当、外部指導者は報酬なしで実施しているが、本格稼働すると指導者報酬が年間3,000万円以上かかる。現状、利用できる補助金がないため、自己負担のお願いを視野に入れている。また、本格実施の際には、学校保険の適用外となるため、新たに保険加入が必要となり、約200万円かかる。

(9) 今後の課題

・ 要保護・準要保護、ひとり親家庭など所得の低い家庭への配慮については、国の補助金の活用による支援を検討中である。

所見

国は令和5年度から学校の部活動を段階的に地域移行する方針だが、国や都道府県の方針などが未知数のため、多くの区市町村で未だに全体像が見えない状況にあると推察している。そうした状況の中で、可児市は約40回にもわたるアンケート調査から結果を分析し、さらに100回を超える学校での説明会を実施し、届いた意見を受け止め、その場で見直しを行うなど、柔軟に対応し各種手引きの作成を行った。「初めに規則を作り、規則を優先し、規則に合わないことを理由に住民要望に応えない」といった硬直化した行政運営と全く真逆の取り組みである。このような発生主義的な手法は柔軟である一方で、関係者や関係団体に混乱をきたすのではと危惧するが、その都度、丁寧な説明と話し合いによって賛否の溝は埋まり、結果、関係各位の協力体制が生まれたことは大変参考になった。特に注目すべきは次の2点である。
1つ目は、教育委員会と市が一丸となって取り組んだことである。市では市側が主導して教育委員会を巻き込んだが、どちらが主導するにしても地域移行の最大の課題は指導する人材の確保であり、そのためには、わが町でも町全体を巻き込む必要があることが実感できた。
2つ目は、担当職員が主体的かつ積極的に考え行動することができたからと判断する。我々に説明してくれた担当職員から強い熱意と情熱を感じた。
しかし、可児市においても今後、発生することが予測される指導者への報酬問題、特に高額になる音楽関係者への報酬問題や、要保護・準要保護、ひとり親家庭など所得の低い家庭の場合、自己負担分をどうするかなど解決しなければならない課題が残っている。
今回、可児市への視察によって、貴重な資料をいただくことができた。わが町と可児市では地政学的見地からも風土、慣習の違いはあるとは思うが、アンケート結果は参考となるのではないかと推察される。可児市のデータを参考に、わが町も地域移行に取り組む際には、生徒たちが楽しく健全にクラブ活動を行えるように、町一丸となって取り組むことを期待する。

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