瑞穂市

更新日 令和5年8月9日

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概要

1 学力向上に関する施策
(1)教職員の指導力向上のために

・全校での授業研究と研究発表会の実施
各校で授業研究を実施し、教職員や指導員による指導を実施。また、各校は3年に1回、研究発表会を実施し、指導を受けるシステムを構築している。小学校は学年毎に、中学校は教科部で課題や効果的な指導方法を研究し、教職員間で共有している。

・「若手教員支援研修」の実施(令和4年度希望者30名)
学力向上に向けて、市内の教員の年齢構成で多数を占め、担任を持つ年代でもある、20~30歳代の研修に力を注いでいる。
20歳代の教職員については、保護者との間でトラブルがあった場合は必ず管理職に報告し、組織で対応することを研修で指導している。
いかに指導力をつけるかということが第一歩という思いで実施。
より良き指導力を身につけたいとする意欲的な教員が再び市での教職員を希望することも期待している。

・「ミドルリーダー研修」(学校推薦)
30歳代の教職員に対し、児童・生徒への指導だけではなく、教職員間のかかわり方などを研修する。市教育委員会は、ひとりで悩みを抱えさせないように、悩みの内容を教職員が共有しグループで解決するようにし、この研修により、学校内で若手教職員が身近に相談できる先輩教職員を育てている。

・学校全体で同じ方向性を共有
児童・生徒の心の在り様を理解し、また教職員同士の心の在り様を理解し同じ方向性を共有できるようミドルリーダーを中心に各学校が心がけている。

・研修支援体制
教育支援センターの研修指導員3名と学校教育課の指導主事4名とで各学校を分担し、定期的に学校を訪問して、若手教員との関係を築きながら、指導方法や同僚との人間関係、プライベートなど幅広く悩みも聞きながらアドバイスする体制をとっている。
研修指導員には元校長職を登用することで学校の状況把握を的確に行っている。結果、教職員のストレス緩和や授業準備の時間が短縮されるなど、働き方改革にもつながっている。

(2)ICT教育の向上
ICTの活用率が低かったことを踏まえ、校長職経験者で大学の先生を講師に招き、学校の教室で実践的な研修を教職員に対して実施した。ICTを活用した授業が多くなるなど、授業改善が図れた。

(3)学校での取り組み

・独自に改善プランの作成
全国学力・学習状況調査の結果を分析し、各校が抱える問題や課題を明らかにし、改善プランを作ることで教職員間での問題意識を共有している。

・子ども主体の授業
ペアの活動、グループの活動、子どもたちが自分で考えて判断して表現するという授業体系としている。先生が問題・課題を投げ、まずは子どもたちに任せてやらせることで、気づきを生んだり、新しい発見を生んだり、子ども同士で自然と教え合うなど、子ども主体での授業を展開している。

(4)自己有用感・自己肯定感の醸成

・MSJ・MSKの活動
MS(Manners Spirit)活動とは、挨拶運動、社会貢献活動、交通安全マナー、情報モラルの向上などの取組みを通して、地域や学校をよりよくする活動の充実を図ることを目的としている。活動は各学校で、登下校の挨拶活動、学校の清掃活動、青少年の健全育成に関するビラ配りなどを、子どもたちの自主性を尊重して行っている。成果として、自主性が高まり、自分たちの学校の中だけでなく社会に目を向けるということが根付いてきている。全国学力・学習状況調査の「今住んでいる地域の行事に参加していますか」や「地域や社会をよくするために何をすべきか考えることがありますか」の回答が全国平均を上回り、このような面からも、地域に自分たちの力で貢献したいというような子どもたちの意識が伺える。


MSK、MSJの登録者数

登録者数

R3

R4

MSK(小学生)
(R4全3,454人中)

145人

131人

主に児童会

MSJ(中学生)
(R4全1,710人中)

328人

339人

自主参加


MSJ、MSKとは
2000年に岐阜県で行われた全国高校総体を契機に、2001年に高校生による規範意識啓発推進委員としてMSL(Manners Spirit Leaders)が発足。
そのすそ野を広げ、思春期にある中学生も地域の体験を通して、より自分を成長させようということから、2006年MSJ(Manners Spirit Junior)が発足。
北方警察署生活安全課の呼びかけに、瑞穂市、北方町、本巣市の各教育委員会も賛同し、管内8中学校が活動を開始。その後、小学校でもMSK(Manners Spirit Kids)を発足させた。

(5)児童・生徒の健全育成

生涯学習では、小学校区ごとに学習、スポーツ、ボランティアを行う地域の組織体がある。市には高校や大学がないため、最も頼りになるのは中学生であり、学校教育でないところでも協力を依頼して、中学生に地域の一員として活躍してもらっている。
・地域の運動会では、一番大変な機材運びなどを中学生が主に行う。また、お祭りでの焼きそばづくりは食材の切り出しは女子が、焼くのは男子が担当。自分たちの作った焼きそばが地域の方々に喜ばれている。
・地域の方々もできるだけ中学生に活躍の機会を作っている。
・地域行事ではテスト期間中を回避するなど、中学校の日程を地域の方々が配慮。どうしても重なるときは小学6年生に頼んでいる。
・防災訓練では土嚢積み(河川が多いため)に協力している。

2 コミュニティスクール

・中学校区で設置
中学校区で学校運営協議会を設置し、中学校区の小学校、中学校、保護者、地域住民が共有し、それぞれが主体となって子どもたちを育んでいる。中学校区で行っているため9年間という長い視点で、地域と学校が子どもたちの成長を見守り、課題を共通認識して取り組めている。

・人材確保
学校が求める地域人材を協議会委員が紹介。その他に地域の回覧等での募集を行っている。

所見

市は、学力向上施策として特別な事業をしているわけではなかった。また、学力向上に向けて、特に指導力の高い教職員を招聘しているわけでもなかった。瑞穂市の教育をあえて一言で示せば「教職員も児童・生徒も教育委員会自らが育てる」である。
まず、教職員については、従来の集合型研修のほかに、出前型研修、支援型研修を実施している。また、社会経験の少ない若い教職員については若手教員支援研修を、30歳代の中間的な立場になった先生については学校推薦によりミドルリーダー研修を実施している。そして、指導上の悩みやさまざまな不安に対して身近にミドル教員や元学校長など経験豊富な人材が相談に応じる環境を整えている。
町教育委員会も教職員育成に対し、ほぼ同様の内容を実施していると思われるが、教職員育成システムやメンタルリカバリーシステムが現体制のもとで十分機能し、結果として指導力の高い教職員となり、児童・生徒を指導できているか検証が必要と考える。教職員が抱える不安や悩みを受け止め、精神的な負担を軽減し、充実した学習時間を児童・生徒に提供できる体制づくりに期待したい。
児童・生徒については、花を育てて高齢者へのプレゼントや、中学生になれば地域行事での焼きそば作りや、防災訓練での土嚢運びの手伝いなど、さまざまな地域やイベントで児童・生徒たちに活躍の場を与えている。これらの地域への貢献が社会性や自己有用感、自己肯定感を高めていると推察される。そして、この自己有用感、自己肯定感が学力向上に相乗効果をもたらすのではないか。なぜなら、自らの頑張りを地域社会の方々や友人、教職員、保護者に認められる環境づくりが、生徒たちの「学びの動機付け」につながるからである。これが中学生になってからの学力が伸びる要因と考える。
こうした一連の人づくりの育成システムは、長い年月をかけて構築されていったものと推察するが、それを成し得た背景には、人を育てるために何が必要なのか、どうすることが効果的なのかを熟知した、代々続く校長経験者が教育長となり、リーダーシップを発揮していることが大きく影響していると推察する。厚生文教委員会では、学力向上に何が必要なのかを主要目的として調査研究を続けてきたが、自己有用感・自己肯定感の醸成と学力向上が表裏一体であること、そのために児童・生徒に活躍する機会を作ることの必要性は、予算・決算の討議案件で議員間討議しており、また、まちなか会議においても町民の方から同様の意見を伺っている。奇しくも、我々の厚生文教委員会の意見も同じであった。
わが町の第5次長期総合計画、基本目標2の施策分野6の4「地域と学校が連携・協働し、幅広い地域住民や保護者などの参画により地域全体で子どもたちの成長をささえ、地域を創生する「地域学校協働活動」を推進します。」を軸に据えて取り組むことで、基本目標2の達成につながると確信することができた。
町教育委員会および町側には、将来の瑞穂町を支える子どもたちの育成については縦割りになることなく、町側、教育委員会、地域で子どもたちの活躍する機会の創出と、その実現のために連携を強化することを期待する。

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