長野県諏訪市 「不登校対策について」
更新日 令和8年9月1日
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調査概要
諏訪エリアでは、諏訪市・岡谷市・茅野市・下諏訪町・富士見町・原村が広域で連携して不登校対策に取り組んでいる。
フリースクール等も「諏訪6市町村」を対象エリアとしている。また諏訪エリアでは、不登校の親の会を母体にした団体が居場所運営やネットワークづくりを進めており、保護者同士が悩みを共有できる場が複数ある。
また市では、内閣府とNPO法人多様な学びプロジェクトと連携して、保護者や支援者のための「とまり木オンライン」という官民連携の不登校支援事業を行っている。
市の不登校対策の取組
諏訪市では、不登校の児童・生徒数が全国平均を上回っている。長野県としても全国平均を上回る状態であり、県としても市としても不登校支援に力を入れている。市では、不登校を「問題行動」とせず、学校や家庭、関連機関等が不登校児童・生徒に寄り添い、社会的に自立ができるように支援を行っている。
以下、諏訪市の取組について列挙すると、令和3年に、「不登校児童生徒を支援する民間施設等に関するガイドライン(出席扱いの考え方)」策定、令和4年に「不登校児童生徒の支援に係る基本的な方針について」策定、令和5年に不登校支援コーディネーターを配置、「学校や教室に行きづらい児童生徒の学習評価について」策定、令和6年に「学びの支援関係者懇談会」開催、「フリースクール等利用児童生徒支援補助金」新設、「学びの支援サポートブック『よりそう』」発刊、令和7年に市内中学校1校に校内教育支援センター支援員を配置、「とまり木オンライン」実証事業参加。
他機関である、フレンドリー教室、校内自立支援教室、フリースクール、あゆみステーション、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等と連携している。なお、あゆみステーションは、0歳から18歳までの子どもに関係するワンストップの窓口となる横断的な組織である。
不登校対策の広域連携
諏訪地域では、諏訪市・岡谷市・茅野市・下諏訪町・富士見町・原村の6市町村で連携して不登校対策を行っている。元々、消防・福祉分野ではこの6市町村で連携しており、素地があったところに不登校対策が加わった形である。広域連携のメリットとしては、情報の共有ができること、選択肢が増えることがある。課題としては、行政・学校・民間支援団体間のそれぞれの温度差があることが挙げられる。
民間団体である「諏訪地区学びの支援ネットワーク」が主体で作成された、学びの支援サポートブック『よりそう』は、不登校支援の基本的な情報がまとめられた冊子である。6市町村の官民タッグで、令和6年11月に発行された。中身は広域連携している6市町村で共有になっているページと、各自治体情報が掲載されているページがあり、内容は毎年更新されている。行政・学校・民間支援団体の懇談の中で、子ども・保護者や関係者がワンストップで情報にアクセスできる資料が必要との意見が出されたことがきっかけで幾度も話し合いを重ねて作成に至り、不登校の子どもや保護者の心情に寄り添った内容となっている。
フレンドリー教室、フリースクール、親の会等と行政の連携
フレンドリー教室(校外教育支援センター)は市民会館2階に設置されており、自学自習が基本で子どもの自主的な計画・活動を尊重している。社会的自立と学校への復帰が目的である。校内教育支援センターは市内の4中学校全校に設置されており、また市内6小学校のうち1校に設置予定である。
月に1度、施設側から活動報告書の提出を受けることで教育委員会との連携を図っているが、学校関係者が頻繁に現場を見学・訪問できていない点が課題となっている。
フリースクールは市内に2か所存在するが、長野県が運用している「信州型フリースクール」で認証されているものは令和7年11月現在で県内に43か所あり、どこでも利用することができる。この43か所のフリースクールに通う子どもの保護者に対して令和6年度から8年度の時限措置として「諏訪市フリースクール等利用児童生徒支援補助金」を交付している。
連携方法としては、フリースクールには学校で個別に行っている支援会議に出席してもらっているが、一部の団体に限られ、団体によって温度差があるのが課題であるとのことであった。
親の会との連携についてはまだ十分とは言えず、今後の検討課題であるとの説明があった。
とまり木オンライン
内閣府と「NPO法人多様な学びプロジェクト」と諏訪市が共同で実証事業をスタートさせた、不登校の子どもを育てる保護者のための、優良会員制オンラインサロンである。動画の視聴と、オンライン講座、イベントやコミュニティへの参加ができる。
利用料は月額1,980円だが、諏訪市では令和8年度より月会費は0円としている。現在36人の登録があり、そのうち12名が保護者、10名がフリースクール関係者、14名が教職員となっている。どこにもつながっていない世帯にいかに利用してもらうかという課題があるという。
今後の展望としては、令和8年以降は、実証事業で得た知見をもとに、他の自治体との連携拡大を目指し、住んでいる場所によらず、孤立しない、支え合いのネットワークを全国に広げていく。
所見
諏訪市では、不登校対策として諏訪市、岡谷市、茅野市、下諏訪町、富士見町、原村の6市町村で広域連携しており、情報の共有や選択肢の拡大のための施設の共有などを行っているが、行政・学校・民間支援団体間の連携の必要性に関しては各団体で温度差があり、難しい一面も感じられた。
また、市では独自に「あゆみステーション」という0~18歳の子どもの困りごと等のワンストップ窓口を作っているのは印象的だった。
広域連携事業で特に目を引いたのは、保護者の不安に寄り添い、フリースクールを含めた地域の相談先までをわかりやすく一冊にまとめた、学びの支援サポートブック『よりそう』という冊子を作成して、保護者や子どもに必要な情報をわかりやすく届ける工夫がなされていた点である。本町においても同様の冊子を作成し、配布を検討すべきである。
本町では、広域連携や不登校の住民への情報伝達の方法などについて今後の研究が必要であるとともに、増加する不登校児童・生徒の対策の一つとして、フリースクール設置のバックアップや、その利用者に対する補助金制度の基準等について、研究・検討・議論を深めていくことが不可欠であるとの確信を得た。
なお、諏訪市では、上諏訪駅前に建っている商業施設の3階を市の施設にしており、駅前交流テラス「すわっチャオ」が設置されていた。予定には無かったが見学したところ、キッズコーナーや会議室、イベントスペース、カフェコーナー等があり、また明るく清潔感があるので多世代が集まる場所として多くの人に活用されていた。キッズコーナーについては未就学児までの利用だが、十分な広さと遊具があり、親子で遊んだり保護者同士で交流する場として魅力的に感じられた。

諏訪市役所で研修を受けている様子
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