長野県岡谷市 「不登校対策について」
更新日 令和8年9月1日
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調査概要
岡谷市は、不登校児童生徒について、学校・家庭・地域・フリースクール等をつなぐ形で不登校対策を進めており、行政と民間が一体となった先進的な取組を行っている。
市では不登校児童生徒の増加を受け、フレンドリー教室(拠点型の教育支援センター)や、市内の11校中、五つの小・中学校に自立支援教室(校内教育支援センター)を開設し、学校と家庭の中間的な学びの場を複数用意している。また、市内と諏訪エリアには複数のフリースクールが設置されており、市ではそこに通う保護者に補助金を交付している。
フレンドリー教室および自立支援教室(教育支援センター)
フレンドリー教室(拠点型の教育支援センター)が1か所、自立支援教室(校内型の教育支援センター)が四つの中学校と一つの小学校に設置されている。教員免許を有する会計年度任用職員を自立支援員として1名ずつ配置し、学習保障に力を入れている。そのため、利用者は高等学校に進学する生徒が多い。
平成20年に不登校率が高くなったのをきっかけに、専門会議を立ち上げ、予算化し、平成23年には中学校4校で自立支援教室が開始され、開始まではスピード感をもって進められた。
近年、小学生の不登校が増えているのも課題である。小学校の自立支援教室は令和7年4月に1校で開校したが、小学校の自立支援教室を増やすには財源と人材の確保が大変である。また、小学生は1年生から6年生まで幅が広く、自分で学習等を進めることができない難しさがある。
学校との連携については、月に1~2回の職員会議で子どもの様子を伝えたり、フレンドリー教室で月に1度集まって報告・連絡・相談を行っている。
フリースクール
市内には三つのフリースクールがある。「子ども・若者STEPハウス」はオルタナティブスクールであり、体験・ボランティアなど多様なプログラムを通じた実践的な学びができる。不登校の子どもと引きこもり状態の若者が対象となっている。「スキルアップスクール岡谷」は個別指導塾タイプのフリースクールであり、小・中学生が対象となっている。通塾が難しい時には在宅学習に切り替えができるサポート体制が整っている。三つ目は市が設置しているフレンドリー教室(教育支援センター)であり、こちらは無料で利用することができる。
「岡谷市フリースクール等利用料補助金」では、信州型フリースクール認証制度実施要綱により認証を受けている民間施設の利用者の一部に補助金を出しているが、令和8年4月に施行されたばかりであり、利用人数等は不明である。
ウェルビーイング実践校TOCO-TON(トコトン)
子どもたち一人ひとりが自分の能力や個性を最大限に伸ばし、「好き」や「楽しい」、「なぜ」をとことん追求できる学校づくりを目指している。長野県の事業であり、県下で70校が取り組んでいるが144校に拡大される予定である。市の教育委員会では、物理的交流や教育ICTを活用し、学校が離れていても協働・連携しながら、少子化に対応したウェルビーイングな学校づくりを推進している。「おかやのまちじゅう学園化構想」として岡谷市の教育基本計画に盛り込まれている。子どもたちが行きたくなる学校をつくるということで、間接的な不登校対策とも言えるものである。
所見
岡谷市では「岡谷市教育支援センター設置要綱」を策定し、令和7年度から従来の「フレンドリー教室」と各学校の「自立支援教室」を「教育支援センター」として施行した。
大きな特徴は、学校外の拠点型と学校内の校内型を組み合わせ、子どもが学校に行きづらくなった初期段階から子どもの状態に応じて切れ目なく支援できる体制を整えている点で、特に印象深かったのは、教員免許を有する自立支援員を配置した「校内型の教育支援センター」が小・中学校11校中、中学校4校・小学校1校に設置され、制度化されて機能している点である。岡谷市の教育支援センターでは学習にも力を入れているので、令和6年度は利用者24名全員が高等学校に進学している。
またTOCO-TON(トコトン)では少子化を見込んで動いており、小中一貫校(義務教育学校)にすることにより、小1プロブレム・中1ギャップ等に対処・軽減するための取組が行われている。多年齢層の教育を一貫することで起こりうる問題等を解決するルールづくりや、子どもたちが行事等を主体的に考え、物事に対処していくための自主性を育む取組は参考となった。
また、市の補助は信州型フリースクール認証制度のフリースクールに通う子どもの就学援助を受けている保護者が対象で、利用料(入会金・交通費・教材費等を除く)の2分の1以内で、上限は1か月当たり10,000円であった。
瑞穂町においては、フリースクールは一校もなく、近隣のフリースクール利用者やオンラインフリースクールも含め、不登校対策の一助として、補助金制度を設けることは検討すべき課題であると感じた。
瑞穂町における不登校対策を考える上では、岡谷市のような手厚い「校内型の自立支援教室」を設置し、不登校が長期化・多様化するケースも見据え、不登校の初期の段階から子どもの選択肢を増やせるようにすること。また民間のフリースクールや地域の居場所団体との公私連携ネットワークの構築、西多摩広域行政圏内での施設や情報連携のほか、東京都への要望も視野に入れた、総合的な制度・居場所づくりを推進すべきとの確信を得た。
なお、予定には無かったが、もう一つのテーマである「子どもの居場所づくり事業」に関係して、子育て支援館「こどものくに」を見学させてもらった。施設は広く、遊具等の種類や配置の工夫がされ、安全性を考慮してあり、親子や保護者同士の交流にとって、とても良いと感じられた。

岡谷市役所で研修を受けている様子
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