山梨県韮崎市 「子どもの居場所づくり事業について」
更新日 令和8年9月1日
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調査概要
韮崎市は「子どもの居場所づくり」を子ども計画などで位置づけ、学校外でも安心して過ごせる場所を地域ぐるみで増やす方針を出している。「子どもの居場所づくり応援事業補助金」では、地域の団体と連携しながら、学習支援や交流の場など、さまざまなスタイルの居場所づくりを後押ししている。
駅前にある複合施設「ニコリ(NICORI)」には、中学生・高校生向けの居場所である「青少年育成プラザ ミアキス(Miacis)」や、親子が安心して集える居場所の「子育て支援センターにらちび」等も整備されており、多世代が集う場所になっている。今回は、ニコリ(NICORI)と、異世代交流の場である「にららん♪食堂」の現地視察も行った。
行政の体制
市では、「韮崎市子どもの権利に関する条例」および「韮崎市こども計画」に基づき、子どもの居場所づくり施策を推進している。
「韮崎市子どもの権利に関する条例」について、条例制定の経緯は、令和4年度に国で「こども基本法」が成立し、令和5年4月1日からスタートしたことから始まった。国が推進している「こどもまんなか社会」の実現とは、常に子どもにとって最善の利益とは何かを第一に考え、子どもに関する取組・政策が日本社会の真ん中に据えられる社会のことである。韮崎市がこれまで取り組んできた「子ども・若者が活躍できる社会の実現」・「子育て支援の充実」は「こどもまんなか社会」の実現と一致するものであり、「子どもにやさしいまちづくり」を推進するために条例を制定し、令和7年4月1日に施行した。
当該条例では、子どもの権利を保障するための、家庭・育ち学ぶ施設・地域・韮崎市のそれぞれの役割が定められたことが特徴である。3章に「子どもの居場所」が掲げられている。
「韮崎市こども計画」は、国の「こども大綱」や山梨県が策定する「都道府県こども計画」を勘案する中で、「韮崎市子どもの権利に関する条例」の制定とあわせて、既存の各法令に基づく市町村計画と一体的な計画として、令和7年3月に策定された。
計画の体系として、基本目標5「子ども・若者を地域で支え、まちづくりを未来につなげる」の施策の方向性(1)で「子ども・若者の居場所づくり」が明記されている。
これらの条例や計画によって、保護者や施設関係者、市民等が子どもの意見等に耳を傾け、また子どもの意見等を尊重し、「子どもの最善の利益」を基底にしたまちづくりや、「子どもの居場所づくり」の整備が行われている。
庁内では一貫した基本方針等を貫いており、次期、第8次総合計画においても、こども計画を参照し関連する施策等を位置付ける予定である。
なお、令和7年度から、「つながるひろがる子育てプロジェクト」が始まり、「子どもの居場所づくり応援事業補助金」が実施されている。
韮崎市民交流センター・ニコリ(NICORI)
韮崎市民交流センター・ニコリは平成23年9月に韮崎駅前にオープンした施設で、あらゆる世代が集い交流ができる公設民営の多目的施設である。商業施設であったものを市がリノベーションし、現在は指定管理で株式会社まあめいくが運営している。
ニコリ内には、学びや子育てを応援する、市立図書館や青少年育成プラザおよび子育て支援センターが設置されている。また交流を促進する場として、多目的ホール・音楽スタジオ・調理室・工作室および会議室がある。賑わいを創出する場としては地域情報発信センター(観光案内所や地域物産コーナー・飲食スペースがある)や無料で鑑賞できる大村美術館サテライトが設置されている。
駅前である立地の効果としては、場所が分かりやすく、交通手段として鉄道・バスが使えるのが大きなメリットであり、子どもが自分で施設に来ることができること。また、駅前広場でのイベント開催時には相乗効果があること等があり、立地についてのデメリットは特に見当たらないとのことであった。
複合施設の効果としては、民間テナントが入っているため家賃収入があること。課題としては、約20の施設が同居しているため、全体の統制が難しいことがあり、特に防火・防災対策としての自衛消防隊組織の高度化に注力したいとのことであった。また、施設長寿命化についても取り組む必要がある。
青少年育成プラザ・ミアキス(Miacis)
ニコリの地下1階には、青少年育成プラザ・ミアキスがあり、中学生や高校生の居場所の拠点として機能している。中高生にとっての家でも学校でもない第三の居場所をつくろうと、市と地域の大人が共に立ち上がり、平成28年10月に開設された。居場所のみでなく、中高生の自分探しや将来の選択肢を広げるきっかけづくりをサポートしており、スタッフは中高生に近い年齢である20代が中心となっている。市より委託を受けたNPO法人河原部社が運営している。
説明してくれた施設の職員によると、利用状況としては、現在2,033人が登録しており、そのうち900人程度が韮崎市民である(韮崎市の人口は約28,000人弱)。平日は1日平均で38人、土日は1日平均70~80人の利用がある。利用者に調査したところ、ミアキスに貢献したいとの回答が75%、地域に貢献したいとの回答が55%であり、施設や地域への愛着がうかがえる。
なお、ミアキスを卒業しても、卒業生によるボランティアやインターンがあり、ミアキス同窓会を行う等、河原部社は利用者との関係を継続させる仕組みを作っている。卒業生とは、卒業生用インスタグラムや公式LINEで連絡を取っているとのことであった。
スタッフは意欲的に新しい企画を行っており、令和8年度には卒業生が地域と連携した初の事業を実施する予定となっている。
中高生時代の「自己満足度」「地元満足度」を高めることで、一度韮崎市を出たとしても、将来は市に回帰する「カムバック支援事業」に繋げていくことを目指している。
NPO法人にららんおよびにららん♪食堂
「NPO法人にららん」も、子どもたちに第三の居場所を提供すべく、また地域でこどもを育てるという視点で、子どもと養育者の孤独と不安の解消に寄与することを目的として活動している。
活動の内容としては、生活支援としてフードバンクやフードパントリー、食事支援としてこども食堂、子どもや養育者の相談支援、無料で勉強を教える学習支援等、多岐に渡る。
こども家庭庁より「未来をつくるこどもまんなかアワード」奨励賞を受賞している。
令和6年7月にオープンしたラウンジは、ニコリ内のミアキスのはす向かいに設置されている。
韮崎市とは、令和5年11月10日に包括連携に関する協定を締結した。市とは委託関係ではなく、困難を抱える家庭への支援を一緒に行うパートナーとして共同し、支援を行っている。利用されている家庭の情報については、市こども子育て課と共有し、支援の方向性の検討等も行っている。
資金・情報・ラウンジの場所の提供は市がバックアップをしてくれた。なお、企業からの支援が最も役立ったとのことだが、これは市長等が自ら事前にNPO法人の活動や理念を企業に周知し、企業との橋渡しを行ったことが、企業の信頼獲得につながったとのことである。
活動を持続させるための人材については、ミアキスとも連携することで、高校生や大学生のボランティアが積極的に活動してくれている。
こども食堂である「にららん♪食堂」は、令和元年6月に始まり、子どもから高齢者まで、誰でも気楽に立ち寄れる、地域みんなの居場所となっている。食事以外にも、子どもと大人とのふれあいが自然に生まれる場所となっている。
所見
韮崎駅前にある大型商業施設をリノベーションした韮崎市民交流センター・ニコリ(NICORI)の地下1階に足を運ぶと、青少年育成プラザ・ミアキスや「にららん♪食堂」は、子どもたちや中高生がリラックスして、自分の居場所を見つけて生き生きと過ごせそうな場所であった。
ミアキスは学校でもない、家庭でもない、第三の居場所として、中学生・高校生が交流や勉強をしたり、自らイベントを企画したりする交流拠点であり、自分探しや将来の選択肢を広げるきっかけづくりをサポートする施設であった。
また、「にららん♪食堂」を運営しているNPO法人にららんは、単に食事の提供に留まらず、学習支援や相談支援を行っており、包括的に子どもおよび養育者の孤独と孤立を解消する場ともなっていた。
ミアキスや「にららん♪食堂」等では、言葉だけでなく、0歳から18歳までの切れ目のない支援、手の差し伸べが見受けられ、理事長の優しさ、熱意、課題解決に向けた強い意志とともに、市長の地域全体で子どもや子育て家庭を支援し、子どもの権利を大切にした子どもにやさしいまちづくりへの熱意を強く感じることができた。
また、ニコリの素晴らしい点は、これらを全て「駅前」という一等地で行い、さらに民間テナントを入れることで「施設自らが収益を上げ、持続させる仕組み」を作っていることで、行政が全てを背負うのではなく、民間の知恵と力を借りて持続可能な施策を作る視点こそが瑞穂町に不可欠であると感じた。
本町では、児童館を卒業した子どもたちが気軽に集まり、家庭でも学校でもない“ナナメの関係”で大人たちと繋がれる場所がなく、また未就学児の子どもたちが安心して遊べる場所も、地区によっては非常に限られているため、今後予定されているモノレール延伸や駅周辺の開発において、「子どもたちの笑顔があふれ、かつ財政的にも持続可能な居場所づくり」を実現すべく、これらをグランドビジョンとして組み込んでいく必要があるのではないかと考え、委員会としても全庁挙げた取組がなされるように注視していく。
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