岡山県新見市 「駅周辺まちづくりについて」

更新日 令和8年9月1日

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調査概要

新見市では、少子高齢化や人口減少に伴い、中心市街地である新見駅周辺において居住者の減少、駅利用者の減少、商業構造の変化など、地域の活力低下が課題となっている。このため、市の玄関口である駅周辺を「にぎわい・交流・子育てを支える拠点」として再生することを目的に、「新見駅周辺まちづくり基本構想」を策定し、官民連携によるエリアマネジメントを推進していた。
構想の実行主体として、民間事業者、大学、金融機関、市民など多様な主体で構成する「新見駅周辺みらいプロジェクト(にいプロ)」を令和5年9月に設立し、現在は25団体が参加している。定例会には、毎回40〜50名が出席し、学生から高齢者まで幅広い層が意見交換を行っている。令和6年度からは、地域おこし協力隊を配置し、事務作業やイベント運営体制の強化を図っている。
令和6年5月には、将来像と行動計画を示す「にいプロ未来ビジョン ver1.0」を策定し、市長へ提出した。これを踏まえ、駅前イベント(リバーサイドバーにいみ)、空き店舗活用、地域資源を生かした交流事業(美術館連携LINEスタンプラリー)などを実施し、にぎわい創出の可能性を検証している。また、駅前に椅子やテーブルを設置し、滞在行動や人流データを収集するなど、データに基づく評価を行っている点が特徴である。駅前には新見公立大学の学生寮が立地し、1階部分はスタディラウンジや子ども交流広場、発達支援センターとして地域に開放され、交流拠点として機能している。
基本構想および未来ビジョンの作成は、外部コンサルタントへ委託しており、委託経費において、令和2年度は200万円、令和3年度は700万円、令和4年度は600万円弱、令和5年度は550万円である。内容は、ワークショップ支援、素案作成、プラットフォーム構築検討、社会実験支援などである。
民間主導のまちづくり会社である「新見まちづくりカンパニー」は、市内企業代表6名により設立され、基本構想策定時から参画している。令和4年度以降は、イベントや社会実験を市からの委託により実施しており、令和6年度の市の支援額は300万円、令和7年度は250万円、令和8年度はイベント等100万円に加え、未来ビジョン改定のため、さらに100万円を計上している。将来的には収益を伴う自走型運営を目指し、市負担金を段階的に縮減している。
店舗誘致については、現時点でプロジェクトを契機とした新規誘致はないものの、既存物件を活用した出店は見られる。機能配置については、これまでの社会実験の結果から、河川敷の親水公園が新見市らしさを発揮できる拠点として有望との意見が出ているとのことであった。
用途地域の見直しは、現時点で予定していないが、立地適正化計画が策定後5年を迎えるため、令和9年度に評価・見直しを行う予定であり、その過程で用途地域の議論が生じる可能性がある。財源については、令和9年度より国土交通省「都市構造再編集中支援事業補助」の活用を検討しており、他制度も併せて財政負担の軽減を図る方針である。
公共交通との連携では、芸備線の将来の交通手段を検討する「芸備線再構築協議会」が議論・実証事業を進めており、協議会の結論次第では、地域公共交通の再編が想定される。駅周辺整備においても、交通再編と整合を図りながら進める必要があると認識していた。
以上のとおり、新見市の駅周辺まちづくりは、官民連携による実践的な社会実験とデータ分析を基盤とし、令和9年度以降は、機能配置、財源確保、公共交通再編との連携など、具体化した段階へ移行していく道筋がたてられていた。

所見

新見市の視察では、駅周辺整備を行政だけでなく、住民・事業者・大学・若者など多様な主体が参画し、地域一体で進めている点が大変参考となった。駅周辺の将来像の検討段階から住民参加を前提とし、ワークショップやアンケートを通じて住民意見を反映した構想を策定し、その後は、官民連携組織「にいプロ」がアクションプランの作成や社会実験を重ねながら事業を進めていた。こうした住民主体の取組が、整備後の持続性と地域の活力向上に寄与していることが確認できた。
また、駅前の空間づくりが住民の暮らしと直結している点も印象的であった。交通結節点としての機能に加え、広場や交流スペースを設け、地域イベントや子どもの活動の場として活用できるよう設計されており、駅前が「通る場所」ではなく「地域の人が集まる場所」として機能していた。この視点は、瑞穂町の新駅整備においても極めて重要である。
瑞穂町においても、新駅周辺のまちづくりや中心市街地の活性化を進める上で、長期的な視点をもって、行政主導だけでなく、地域住民や事業者、協定を結んでいる大学の学生や若者が主体的に参加できる体制づくりが求められる。
さらには、住民アンケートやワークショップの内容を充実させるとともに、特に若者が参加しやすい仕組みを整えることが重要である。「使う人が計画段階から関わる」ことが、整備後の持続性と地域愛着の向上につながる点は、新見市の取組から得られた最も重要な示唆である。
さらに、瑞穂町には豊かな地域資源と交通アクセスの良さがあり、地域資源を活用した観光振興と駅周辺のにぎわい創出を連動させることが求められる。
駅前広場の使い方やにぎわい創出策については、新見市のように社会実験を通じて検証しながら段階的に進めることで、より実効性の高い整備が可能となる。住民が計画段階から関わり、使いながら育てていくまちづくりの視点は、本町の新駅整備において特に重視すべきである。
以上のとおり、新見市の取組は、住民参加、官民連携、段階的な事業推進という観点から、本町のまちづくりに大いに参考となるものであり、今後の新駅周辺整備に積極的に生かしていく必要がある。

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新見市役所で研修を受けている様子

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