石川県小松市
更新日 令和6年12月2日
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調査概要
石川県小松市での研修
小松市役所において、基地周辺対策や自衛隊基地と民間飛行場との共用の実態などについて研修を受けた。
市役所は小松基地の東側に位置し、研修中も頻繁に自衛隊機が飛行しており、説明が聞こえなくなることがたびたびあった。これほどの爆音は住民生活に多大な影響を及ぼすだろうと想像された。
小松基地では、昭和61年にF-15が配備され現在に至るが、令和7年度から令和11年度にかけて、F-35A戦闘機およびF-15能力向上型が毎年8機(初年度は4機)ずつ配備される計画となっている。市は小松飛行場周辺整備協議会の意見も踏まえ、騒音対策を進めることを条件に受け入れを表明したとの説明があった。
平成19年には在日米軍再編による訓練移転があり、令和4年まで合計13回の訓練が行われていた。今年10月には第14回目の訓練が予定されているとの説明があった。
平成28年6月には新田原基地から飛行教導群(アグレッサー部隊)が小松基地に移動した。要撃機パイロットの技量向上を目的として、戦闘機パイロットの中でも特に傑出した技量を持つパイロットが配属され、高度な訓練が行われている。
令和4年には、残念ながら訓練中に墜落・死亡事故が発生した。この事故に対しては、小松基地、防衛省から、小松市、市議会、小松飛行場周辺整備協議会に対し詳細な説明があったとのことであった。
基地のイベントや自衛隊員の協力については、観桜会や航空祭など春夏秋冬、基地のイベントがあり、お祭りや綱引き大会などに参加し神輿を担ぐなど、地域行事へも積極的に自衛隊員が参加しているとの説明があった。
防衛省等の補助金については、昭和35年(小松基地開設)から令和5年度までに3条、4条、5条、8条、9条、再編交付金合わせて153件、1,814億円の交付実績がある。ハード事業としては、小中学校や病院などの防音工事をはじめ、消防車や救急車の購入、高機能消防指令センターの整備など「安全・安心」のほか、コミュニティ施設やスタジアム、こまつドーム建設など多種多様なものがあり、ソフト事業でも防災、教育、文化、スポーツ、医療、福祉、産業振興、交通など、大変充実していた。
また、告示後住宅の防音工事については、小松飛行場周辺の第一種区域については告示時点と比べ騒音状況が変化していることから、令和5年度から騒音調査に着手した。また、来年度からのF-35Aの1個目飛行隊への配備による影響も勘案して、3年間の調査を行い、令和8年度には第一種区域の見直しが行われる。それに併せた施策として、本年度から、告示後住宅の対象年度を「平成6年12月20日までに建設された住宅」から、「平成16年12月20日までに建設された住宅」に変更された。
横田基地では、オスプレイの騒音や振動被害について、住宅防音工事等が手厚くなるなどの配慮はないが、小松基地では教導群の移転やF-35の配備に向け、さまざまな変化があることが分かった。
航空自衛隊小松基地の視察
小松市役所での研修後、小松基地を現地視察した。
小松飛行場は民間飛行場と共用のため、駐車場は平日にも関わらず多くの車が停まっており、利用客や見送りの人たちの姿があった。
小松空港の展望デッキで自衛隊機F-15の訓練を視察したが、飛行回数が非常に多く、アフターバーナーを焚いて離陸することから激しい騒音を体感した。騒音に配慮して海に抜けるルートを飛行するため、離陸直後には海側に旋回していた。滑走路を越えた自衛隊の駐機場には岩国基地から飛来した軍用機が数機停まっていた。現在、F-35はまだ配備されていないため騒音被害などの実態は不明だが、防衛省に対し要望活動は行っており、特段の措置は示されていないとのことであった。民間空港の滑走路からはボーイング747の貨物機やボンバルディアDHC8-Q400国内線コミューター旅客機が離陸していたが、F-15の後ではとても静かに感じた。
展望デッキでは、航空機ファンや家族連れ、子どもたちが楽しそうに離着陸する飛行機を眺めていた。
所見
小松飛行場は、航空自衛隊小松基地と民間航空が滑走路を共有する飛行場である。小松基地は、日本海側唯一の戦闘航空団として対領空侵犯措置の任務が与えられ、国籍不明機の警戒にあたっている。視察当日もF-15戦闘機の訓練が行われており、その騒音は横田基地の輸送機C-130とは比べものにならないほど激しく、飛行回数も多い。そのため少しでも住民への被害を少なくするため、離陸直後に旋回して海に抜ける飛行ルートをとっている。中島方式と呼ばれ難しい技術を要するとの説明があった。また、令和7年度から11年度にかけて毎年8機(初年度は4機)ずつF-35A戦闘機が配備されることになっている。それに伴い、令和8年度に第1種区域の見直しが行われ、それに併せて告示後住宅の防音工事の対象拡大も図られる予定である。横田基地でもオスプレイの騒音や振動被害について住宅防音工事等の配慮を手厚くするべきではないだろうか。市民は航空機事故や今後配備予定のF-35に対する不安もあるだろう。それらに対応するため、市内には、騒音区域に所在する町内会長(105町)で構成する小松飛行場周辺整備協議会がある。町内の意見を集約し、基地や防衛局に苦情や意見を伝える役割を担っている。わが町にはこのような組織はないため、住民は役場へ苦情を伝えているが、住民の意見や要望がしっかり反映されるこのような組織づくりは参考にすべきと考える。
一方、自衛隊では地域住民との信頼関係を築くため様々な交流事業を行っていた。観桜会、納涼の夕べ、航空祭、成人祝賀行事など、市のイベントや地域行事に積極的に参加している。住民が基地への理解を深め、共存共栄を目指すには、非常に大事なことだと感じた。防衛省補助金や交付金の活用では、公共施設などのハード面だけでなく、GIGAスクール構想などの教育プログラムに活用するなど、ソフト面でも多様な活用がなされていた。また、小松市の補助金・交付金活用表は、実績だけでなく対象事業の例が記載されているため、議員や住民も使える対象事業が一目瞭然で、提案や要望がしやすい。町も参考にすべきと考える。
小松市は、自衛隊航空基地、企業((株)小松製作所)、観光(新幹線・小松空港)の町として発展している。わが町も基地を抱えるマイナス面もあるが、基地が持つさまざまな利点を生かすべきではないだろうか。今後、モノレールが延伸することで、横田基地に近い新しい駅((仮称)No.6駅)ができる。軍・産・民の連携により、小松市の取り組みを参考に集客施設や観光施設の建設など、町の発展につなげてもらいたい。
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