長野県長野市 「教育支援センターの取組について」
更新日 令和6年9月27日
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概要
教育機会確保法を受け、不登校児童生徒への支援の在り方を検討。「学校に登校する」という結果のみを目標とするのではなく、社会的に自立することを目指し、教育支援センター(中間教室)、不登校特例校、民間施設、ICTを活用した学習支援などに取り組んでいる。
教育支援センター
学校や家庭、地域の中に自分の居場所を見いだせない児童生徒が通える「学校外の育ちと学びの場」と位置づけ、市内に小規模(定員数名~20名程度)の居場所を7か所設置。子どもたちの自立心や社会性を高め、学習や集団活動への意欲が持てるよう支援。教員免許を持った指導員を各1名配置し、個別学習や運動、ゲーム、読書など、子どもにあった過ごし方を支援。また、メンタルフレンドとして信州大学の学生がボランティアで関わってくれている。
教育支援センターSaSaLAND
8か所目の教育支援センターとして令和6年度から開所。旧小学校の分校を改修し、子どもたちの社会的自立に向けた支援、保護者への支援、教職員等の不登校に係わる研修を柱として運営。
(1)子どもたちの自立支援
・地域との交流活動…近隣の地域の方々と交流
・近隣の高校と交流を推進…学びや自立に向けたきっかけづくり
・自然体験活動…自然の中でキャンプ等の非日常体験の機会創出
・メタバースを活用したオンライン活動
・キャリア教育…民間企業と連携し、職場体験などを実施
(2)保護者への支援
不登校の子どもを持つ親の孤独感の軽減や子どもの支援に有効な知識・技能の獲得を目指す。
・親同士の語り場の開設
・保護者への定期的な情報提供
・スクールカウンセラーやソーシャルワーカー等の専門家による個別面談
・「子ども総合支援センター」との連携
(3)教員等の不登校に係る研修
子どもの支援に有効な心理や福祉の知識と技能の獲得、教職員の抱え込みや孤立の防止、孤独感の軽減を目指す。
・教育支援センター研修講座の開催
・学校教育課研修講座の開催
・SaSaLANDでの実地研修
・初級・中級・上級講座など、ステップアップ式研修の実施
学校での取り組み
・校内教育支援センターづくり
・教職員研修の実施
・メタバースへの参加
・教員による支援センター訪問
・教育支援センター通所の出席扱い
フリースクールや民間施設との連携(県内に22施設)
・学びの場の情報提供(情報交換会の実施など)や相談を目的とした説明会や共同フォーラム等の開催
・保護者や学校に向けた施設の情報をまとめた小冊子の作成
・メタバース(オンライン)への参加
所見
長野市では年々増加する不登校の児童生徒に対し、「学校に登校する」ことのみを目標とせず、個々の状況に応じた支援で社会的自立を目指すため、子どもが自由に選択できる、子どもの通いの場「教育支援センター」が7か所まで拡充していた。令和6年度には廃校になった分校を改修し、さらなる取組が展開できる8か所目の居場所SaSaLANDも開設し、児童生徒のみの支援ではなく、保護者や関わる教職員への支援も開始していた。
各支援センターでは教員免許の有資格者と共に市内にある信州大学の学生によるボランティアによって、子どもの居場所づくりや学習支援が行われており、新たな施設SaSaLANDではさらに地域の住民や近隣の高校生や大学生との交流、体験学習などもできる居場所となっているほか、保護者や教育関係者の研修なども行われていた。さらに自宅をつなぐメタバースを活用したオンライン活動にも取り組んでいた。
その他、市内にはフリースクールや民間による通いの場が多く存在し、子どもたちがニーズに合わせて利用できていた。これらの施設とは、市が情報交換会の実施など連携を図り、支援の拡充につなげていた。
不登校の児童生徒の抱える複雑な状況に対し、そのニーズに応えるための多様な居場所づくりや地域の住民のみならず高校生や大学生との関わりの創出及びICTの活用などの取り組みは、子どもたちの社会的自立への大きな手助けになっていると考えられる。
我が町でも不登校の児童生徒への取り組みは喫緊の課題である。現在は学校外の居場所は「いぶき」1か所。新たな取組として校内の居場所づくりも進めているが、長野市の様々な視点での取組を鑑みた時、小学生、中学生それぞれに寄り添った居場所の在り方はまだまだ不十分であると考える。さらなる居場所の設置や、ICT活用の工夫のほか、地域の方々との関わりや体験学習など支援の幅を広げることに加え、保護者に対する支援にも取り組むなど、町の今後の支援拡充の参考としたい。
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