愛知県豊田市 「地域計画について」
更新日 令和6年9月27日
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概要
豊田市は、平成17年4月1日に周辺自治体を吸収合併した面積918.32平方キロメートルの自治体であるが、市域の約7割が森林である。
南部は平坦で整備された水田中心の大規模農業地帯となっており、中心市街地近郊は米、麦、大豆中心。市西部は、米、麦、梨・桃の生産を行っており県内有数の産地となっている。
山村部(吸収合併地域) は稲作、花き・畜産を主として、地域特産物である自然薯・小菊等の生産は小規模農業経営となっている。
耕地面積6,190ha(田んぼ:4 ,740ha畑:1,450ha)、基幹的農業従事者2,228経営体、認定農業者215経営体、集積率52.7% 、遊休農地面積525haとなっており、中山間地域を中心に増えている。
農業委員会の委員構成は農業委員19人、農地利用最適化推進委員45人となっており、加えて事務局職員10人(正規職員7人、会計年度任用職員3人)の体制となっている。
< 目標地図素案作成状況>
〇担い手が明白な地域(保見・足助・稲武の一部)をモデル地域として先行着手(令和4年10月)。
〇リーダーシップの取れる委員がいる地区(下山・旭)は地域集落・農業関係者が独自の方法で作成( 農業委員会は指導せず)。
〇それ以外の地区は3段階に分けて実施。
【第1段階:~令和5年7月】
ゾーニング作成(目標地図を作成する区域を決める)。
現況図作成(今、誰が耕作しているか色分けする)。
委員の交代時期であったが、新任者がこの作業を行うことは難しく、前任者がこれまでの作業を引継ぎ完結した。
【第2段階:~令和6年1月】
担い手等+農地所有者の意向調査(アンケート)を実施して結果を図面に反映。
【第3段階:~令和6年7月】
担い手のいる地域は、農地借り受け調整をして結果を図面に反映。
作成には、直接委員が個別訪問して耕作確認を行い、担い手のいない地域は話し合いの場を設定して、目標地図素案作成の必要性及び当時者意識の醸成を図った。地域営農協議会(14地区)を各段階で開催して、現在、情報提供・意見集約をするといった最終段階に入っている。
豊田市では、「人・農地プラン」がある程度できていたため、目標地図さえ完成すれば、その後の計画策定には、さほど時間はかからないとのことであった。
< 地域計画策定にあたる課題・困難点>
〇委員改選により、前任者にゾーニングや現況図の作成までを終わらせてもらうことの理解及び新任者に農地利用状況調査に対する理解をしてもらうことに苦労した。
〇地域ごとの状況が異なり目標地図素案作成が画一的に行えず、事務局の負担が多かった。
〇ゾーニングに対する各委員の考え方が異なり、地域ごとで異なる考え方の地図になった。しっかりと農地を残すところだけゾーニングに入れる、あるいは、転用されやすいところもゾーニングに入れる、などといった意見の違いもあった。
〇意向調査(アンケート)は質問項目を絞り込みシンプルにして、回答率向上、集計作業・地図への反映作業の簡素化を図った。ただ、それにより、絞り込みに時間を要したことと、国の指定する必須の意向調査項目と合致しないところもあった。
〇決められた期限内に全てを完了させるのは、到底無理で、ある程度の取捨選択が必要。
〇10年先の目標地図作成は予測困難であり、違和感・抵抗感を持つ人もいて、3~5年先の近い将来を想定した地図のところもある。
〇当事者意識を持ってもらい、誰のため、何のために地域計画(目標地図)を作成するのか理解していただくことが必要。
〇山村地域は農道、給排水設備、鳥獣害対策等で経費が増加して遊休農地化が進み、現時点でも赤字経営で廃業したいのに、集積すれば赤字が膨らむだけ。国、県及び市がさらなる経済支援をしてくれれば別といった意見を持つ人もいる。また、協力を得られず限りなく現況地図に近いところもある。
〇将来区画整理等予定の農地は、具体的な開発計画がない限り、地域計画には反映させない。
〇農水省作成の農業委員会サポートシステムは機能制約やトラブルにより入力作業に相当の時間を要した。
〇農地の集積は出来ているが、集約は出来ていない。
所見
豊田市は、面積的に瑞穂町の50倍以上で比較にならないが、地域計画を策定するにあたっての課題などは参考になるところが数多くあった。町が策定する際に予想される懸念事項は、農地所有者や地域計画策定(目標地図素案作成)に対する耕作者の理解や、10年先のことを考えること、ゾーニングの難しさなどが挙げられる。
また、計画策定には期限があり、時間的余裕もさほどない。そして、何より、農地個々の状況がそれぞれ異なることが、まとめ上げていく際の障壁となってしまうと想像できる。
それに加え、瑞穂町としては、個々の農地所有面積が比較的狭く数が多い、農地利用最適化推進委員3名が適正なのかどうか、人・農地プランが進んでいたのかどうかなどの問題点が考えられる。
豊田市のような大きな自治体、先進地でも計画策定において大変な苦労があったことを考えると、瑞穂町においては、一部であっても令和6年度末までに計画策定を終えることは、至難であると推測されるが、農地利用最適化推進委員や農業委員と綿密に連携し努力されたい。また、地区ごとに農地の利用状況が異なるため、目標地図作成にあたっては、画一的でなくとも柔軟に対応することが必要と考える。そして、この計画策定がなぜ必要なのか、誰にどのようなメリットがあるかをしっかりと説明し理解していただくことが必要であり、そのためには、地区ごとでリーダーシップが取れる人材の発掘と活用も重要である。
以上、さまざまな問題はあるが、都市と農との共生のまちづくりに向けて、「地域計画」は非常に重要な計画であり、長期総合計画、都市計画マスタープラン、立地適化計画等と整合性を図りながら進めていただくことを期待する。
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