紫波町
更新日 令和2年1月24日
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調査概要
紫波町は新駅として設置されたJR東北本線の紫波中央駅前に6つの公共施設集約を図るため、10.7haの土地を28.5億円で先行取得した。
その後、実質公債費比率の上昇、基金減などの理由から、事実上計画は凍結となり、約10年間にわたり町有地のほとんどが未利用になっていた。
その10年以上放置されていた町有地10.7haをPPP(公民連携)手法で、整備・開発を行った。
オガールプロジェクトのオガールとは、成長を意味する紫波方言おがると駅を意味するフランス語のGare(ガール)を合わせて、紫波中央駅前を「未来を創造する出発駅」とする決意とこのエリアを出発点として、紫波が持続的に成長していく願いを込めた、造語である。
〇開発経過
1 紫波中央駅開業(平成10年3月):日詰駅~古舘駅の間に駅設置の要望
日詰駅から古舘駅に向かって2%の勾配があり、蒸気機関車の時代は、一度停車すると走り出せないので、駅は作れなかったが、ディーゼル機関車になって可能になった。
2 公共施設用地先行取得(平成10年7月)
3 公民連携基本計画策定(平成21年3月)
平成21年6月に紫波町が100%出資のオガール紫波株式会社(第三セクター)を設立し、紫波中央駅前都市整備事業(オガールプロジェクト)の推進、調整、不動産開発等を行った。
4 オガールエリア内に役場庁舎、オガールタウン(住宅街:夜間ゴーストタウン化しないため、紫波町は昼夜間人口比率が岩手県でワースト1位である)、オガールプラザ(官民複合施設:図書館、紫波マルシェ、学習塾、子育て応援センター、スタジオ、カフェレストラン、歯科クリニック、眼科クリニックなど住民の要望に応えて併設)、オガールベース(宿泊施設、レストラン、コインランドリー、飲食店、薬局、コンビニ、バレーボール専用体育館)も併設、フットボールセンターや保育園等を整備した。
〇プロジェクトの目的
開発をして人が集まることにより、地域の価値を上げる。
〇プロジェクトの特徴
土地は町の所有で賃貸料を貰い、施設は各企業が作り独立採算制で運営する。建物は可能な限り、地場産の木材を使用している。PPPを導入することにより、事業の進捗が早い。また、町が、土地、建物、施設を所有すると、以後、収益が入らないことを改善できる。
所見
紫波町の中央駅西側の開発はPPP(公民連携)、PFI(公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法)の成功例である。一方、駅東側地域の旧市街地では、個人の所有する土地が大半を占めるため地域の開発はなかなか進んでおらず、難しいとのことであった。
当時、地元自治体の新駅建設の要望に対し、設置については、JRからの条件として駅設置費用は地元自治体で出すことと、新たな乗降客の確保策を示せというものであった。
一般的に駅設置費用は自治体・JR両負担となるが、当時JRが民営化される時の国会の付帯決議で新しい鉄道会社には自治体から補助金・助成金は出してはならないという事で、全部寄付金で賄ったとのことである。新たな乗降客確保には住宅も建設し、定住人口を増やすこととした。
オガールプロジェクトとしては難しい農地転用も公共施設の老朽化・不足を理由に、新駅前に公共施設を一括して整備することにより、転用が容易にでき、併せて駅前に定住人口を増やすことができた。駅前に子供から社会人までの利用が見込める県のフットボールセンターを誘致でき、人が集まることで、エリアを活性化し、地域の価値が上昇するなど、参考となる話を聞くことができた。PPP・PFIを導入するメリットとしては、企業(民間)が参入し、資本や技術が提供されることで、綿密な事前調査・計画・スピード(早く投資したものを回収すること)により、施策の着実性と利益も追求することができる。
瑞穂町でも八高線の新駅設置や箱根ケ崎駅西側開発の課題もある中で、PPP・PFIの方式を参考とし、取り入れる検討も必要と考える。
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