愛知県設楽町及び愛知県みよし市

更新日 平成30年5月18日

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愛知県設楽町

調査概要

  1. 計画当初の北設楽郡の概況について
    設楽町・東栄町・豊根村の3町村は平成21年4月1日の時点で、総面積553㎢のうち91.4%が森林、人口11,168人の4,465世帯、高齢化率が42.8%であった。
  2. 3町村単独であった公共交通の状況について
    公営・民営バスがバラバラに運行し、町村境での折り返しであり、公的負担が多額となっていた。
  3. 協議会等の組織について
    3町村それぞれに存在した地域公共交通会議・有償運送運営協議会を解散し、平成21年3月に「北設楽郡公共交通活性化協議会(以下、協議会)」を設置した。8月には「北設楽郡地域公共交通総合連携計画」を策定した。
  4. 計画策定にあたっての基本的考え方について
    「移動は、人間が人間らしく生きていくために必要な基本的活動の一つである。これが不自由であると、豊かな生活を送ることに支障が生じる。そのような社会からは人間が離れ、そしてその地域は持続不可能となる。」とし、この策定は、単なる部門計画ではなく、移動手段を確保することによって豊かな生活を提供し、地域を生き残らせるための重要な戦略の第一歩となることを目指し計画された。
  5. 連携計画における交通システムについて
    平成22年1月4日に北設楽郡公共交通システムによる「おでかけ北設」が運行を開始した。計画の目標は、郡内の全集落から、医療機関・商店・小中学校・郵便局・金融機関等への移動手段の確保。域内主要集落から病院・高校への移動手段を確保。役場や主要観光地への来訪手段の確保であった。
  6. 計画の具体的な手段と効果について
    3町村の連携による町村営バスの一体化・相互乗り入れを実現、基幹バス・支線バス・予約バスの運行をすることで移動利便性の向上を図る。結果として路線相互の利用促進・公共交通空白地域の解消による生活者保護・高校生の下宿解消・高齢者の外出機会の増加による健康の維持増進など、多くの効果を期待するものであった。  
  7. 公共交通の空白地域と判断する基準について
    駅・停留所から500mの範囲に入らない地域と定義されていた。
  8. 3年間の取組の評価について
    「平成24年度地域公共交通優良団体国土交通大臣表彰」を受賞している。
  9. 計画の継続性について
    平成25年度に第2次北設楽郡地域公共交通総合連携計画を策定。以下に基本方針と実施状況の評価指標を示す。
    *基本方針
     ・持続可能交通手段の実現で「魅力的な地域」を創造。
     ・「生活の質」を保障するための交通手段の実現。
     ・交通手段の確保・維持・改善のための関係者間の連携強化。
     ・交通手段の確保・維持・改善のための住民全体に対する啓発。
      (例として …バス世話人=バス利用者と行政のパイプ役)
    *評価指標
     ・高校生自宅通学率=郡内高校生の自宅通学者数/郡内高校生数
      (郡内主要集落から高校への通学手段の確保について、評価)
     ・集落カバー率=公共交通による移動手段がある集落数/全集落数
      (郡全集落から拠点地区への移動手段の確保について、評価)
     ・交通結節点接続率=待ち時間が30分以内の接続機会数/1日の全接続機会数。
      (異なる交通事業者間の連携による総合的な交通体系の確立、評価)
     ・年間利用回数=現金乗車年間利用者数/1月1日現在の3町村人口
      (沿線住民1人あたりの年間利用回数の向上について、評価)
     ・地域住民の参画によるマイバス意識の醸成=3段階を設定。
      (町村別で目標を定め達成度を評価)
  10. 北設楽郡公共交通活性化協議会の体制について
    座長として名古屋大学准教授の加藤博和氏が関わっていた。

所見・提言

3町村は、典型的な中山間過疎で人口減少・高齢化の進行が著しい状況であり、自家用車がなければ病院や買い物も一日仕事というのが実情であった。それ故に、交通の整備や改善をしなければ、地域の衰退を止められない状況が危惧された。協議会は、平成19年に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に規定される法定協議会にも位置づけられ、「地域公共交通総合連携計画」を策定・実施して、移動の利便性が高い地域の実現を推進する組織となり、北設楽郡公共交通システム「おでかけ北設」をスタートさせることに成功。町村をまたぐ広域移動に対応する基幹バスが運行を開始し、併せて支線バス・予約バスも運行。その後、過疎地有償運送も導入された。これにより3町村で、生活の移動手段の確保(通院と買い物の利便性向上)、通学手段の確保(直行運行・乗り継ぎ利便性向上)、公共交通網の整備(全ての集落に公共交通サービス)等が実現した。

そして現在は、各移動手段のベストマッチを追求し、さらに充実した「おでかけ北設」として公共交通ネットワークが構築されている。これにより、住民は自分に合った交通手段のベストミックスを選択できるようになった。

その結果、高校への進学者が定着し(下宿生化を防ぐ)、病院への乗り換え回数も減少、人口の10%が該当していた公共交通の空白地域は、1%までに減少することができた。この施策が実現した背景には、協議会設置当初からの名古屋大学大学院准教授の指導のもと、関連法や制度状況の的確な把握と運用が大きな力となったと思慮される。

わが町も、地域により交通環境が大きく違い、公共交通不便地域への対応が求められる。「北設楽郡公共交通システム」を参考に、他市との相互乗り入れや、複数の移動手段を取り入れ、交通不便地域の解消など、住民ニーズに応えられる交通システム構築に取り組むべきと提言する。

愛知県みよし市

調査概要

  1. 愛知県名古屋市の東方20キロメートル圏に位置し、東隣には豊田市がある。名古屋鉄道豊橋線の駅を2駅有している。平成5年に、東名三好インタ-チェンジが開通し自動車交通インフラの整備が進んだ。また、大手自動車メーカーのトヨタ自動車があり、自動車産業の発展により町内の路線バス事業は衰退し、公共交通が遅れていた。
  2. 昭和63年より三好ヶ丘ニュ-タウンなどの大規模な市街地が整備され、急速に人口が増加した。
  3. 平成11年5月「三好町福祉バス利用促進協議会」が自治体独自協議会として設置された。現在の「さんさんバス利用促進審議会」である。
  4. バスの運行目的は
    ・市内の交通空白地帯の解消
    ・高齢者・移動困難者の社会参加の支援
    ・公共公益施設などへの交通手段の確保
    ・地域間の交流促進
    ・交通の安全と円滑化の促進
  5. さんさんバス運行は、道路運送法第4条に基づく。バス運営・路線の運行計画部分をみよし市が行い、道路運送法の届出等をするのは運行会社が行う。
  6. バスロケーションシステムは、トヨタ自動車が開発したシステムを実験用として平成12年に導入した。平成24年4月、システムの老朽化に伴い、パソコンや携帯電話でバスの位置情報が確認できるシステムを導入した。システム経費は、平成23年度291万9,000円、平成24年度52万5,000円、合計352万4,000円である。
  7. バスロケーションシステムへの必要経費は、ASPサービス利用料(利用料、通信費用、GPS車載器費用等)のみで、平成29年度、年間62万1,000円(バス6台分)である。
  8. 交通空白地帯を解消するため、乗り合いタクシーを導入し、きめ細やかな運行サ-ビスを行っている。始めたきっかけとしては、バス停から500m以上離れた地域を、交通不便地域と考え、バスと連携してタクシーの利用ができるようにした。
    利用方法は、バスが来る20分前までにタクシー会社に電話予約し、バス停まで送ってもらう。料金は、バスとタクシーを利用して1回100円としている。タクシーはバスの一部という考えである。市の負担額は1回285円である。
  9. 現在、さんさんバスの延べ利用者は年間30万人を超えており、人口の5倍の方が利用している。利用者が30万人いるので、税金を投入して支援をしている。平成28年度の運行経費約1億1,000万円は、国の地域公共交通確保維持改善事業補助金2,000万円と、料金収入2,780万円、市の負担額は一般財源より6,200万円である。
    地域公共交通確保維持補助金は、愛知県バス対策協議会の地域間幹線系統確保改善維持計画が認定され、補助金の対象となった。(現在は隣接するトヨタ厚生病院に乗り入れている。)
  10. さんさんバスは365日運行している。市の負担金については、利用者一人あたり運賃100円に対し208円の負担をし、市民一人あたり年間1,030円の負担であった。未就学児と車椅子等の介助者に対しては無料としている。
  11. さんさんバスは民間事業者を圧迫することなく、現在2路線の運行をしている。
  12. 基金について当初は、5,000万円あれば安定して運営できる予定でさんさんバスの運営基金を積み始めたが、平成13年から年間3,300万円を基金として積み立て行い1億円を越してしまったため、バスの更新費用も含めた基金とした。6台で運行させると、計画的なバスの更新は、年間4,000万円になる。重大な故障がある事も考え、5,000万円の更新費を充てている。
  13. 他に東西に抜ける名鉄バス路線や住民の多い三好ヶ丘ニュ-タウン周辺を走行する。ル-プバスやスク-ルバスも民間のバスとして運行している。
  14. 今後の問題と対策
    ・長期総合計画の第二期を見直し、定員が34名の小さなバスのため、このまま利用者が増加すると乗り切れない可能性がある。
     また、近隣に大型店舗が進出する予定であり、平成30年度に公共交通の形成計画の見直しを行う。
    ・現在、地域公共交通確保維持改善事業補助金が交付されているが、利用者数が減ると補助金を受けられなくなることもある。
    ・近隣市町と連携したサ-ビスの提供を検討している。

所見・提言

みよし市は、平成29年11月時点では人口61,017人で、現在も増加を続けている。

市の面積は32.19㎢で、人口及び面積は瑞穂町の2倍となる。鉄道は一路線運行され、路線バスも乗り入れており、わが町と類似するところがあるが、規模・立地条件が違い、みよし市は近隣のベットタウンとして都市整備も進み、急激に人口が増加した。近隣の大手企業の力もあり、自動車利用を中心とした町づくりから、公共交通を取り入れる町づくりへと変わっていった。

平成7年度の住民意識調査では、住みにくい理由のトップに「交通の便の悪さ」が挙げられ、翌年には福祉バス事業計画の検討調査に着手している。平成10年度より、行政が主体となり福祉バスを実験的に運行している。

平成13年度の運行から試行錯誤を重ね、現在のシステムとなっているが、この住民ニーズに対応するスピ-ド感が、現在事業として成功していると感じる。   

また、交通空白地帯を結ぶ交通手段として、乗り合いタクシーを導入している。当初はバス1台の運行のため、ダイヤは70分に1本の間隔でありバス停で待つことへの不安があった。その不安を解消するため、バスロケーションシステムを導入するなどをし、参考になることが多い。

IT化も現在では進化し、パソコンや携帯からも利用ができ、システム料金も導入当初より安価となっており、参考になる施策であった。

瑞穂町では、平成22年度より再編交付金を原資として福祉バスを運行してきたが、あと3年と基金の先がみえてきた。わが町も自家用車の利用が多い。  

しかし、高齢化が進み、公共交通に頼らねばならない町民が増えることを考え、わが町にあった公共交通を考える時である。

町は、アンケ-ト調査によって町民の公共交通に関する意向調査の実施を進めているが、町民の期待に応えるため、早期に交通事業者や利用者を交えて協議し、多くの町民が利用しやすい、新たな交通システムの導入に取り組むべきと提言する。

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