岡山県玉野市
更新日 平成29年3月1日
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調査概要
- 地元業者への発注率は元々高く、80パーセント以上あり、それをさらに高めようとするものであった。また、この目標は努力目標として認識しているため、強制力を働かせるようなものではない。
- 市外業者であっても、玉野市民を一定数以上雇用している業者は、準市内業者としている。また、支店が市内に存在するだけでは市内業者とはならない。
- 地元企業の落札率目標85パーセントは、金額ではなく件数としている。消防車両やソフトウエア、大型機器などの契約の際、市外業者と契約せざるを得ない場合があり、その一つが契約単価を押し上げてしまうためである。
- 議員の一般質問を受けて、さらに地元企業の優先発注に向けた施策にするためのガイドライン等を策定した。なお、ガイドライン策定については、すでに実施していた長野県佐久市、山口県下関市を参考にした。
- 市は設計管理1名、土木3名、電気技師1名の計5名の技術職がいるが、全員職員OBであり、現在中間層の技術職がいないため、若手を育成している。
- 地元企業優先の制度により、地元企業から称賛の声は無かったが、市外業者から若干のクレームがあった。
- 各課の契約行為においては、少額であろうとも、すべて契約課を通すことになっている。
- 地元小売店から購入したいが、大型店との価格差がある。契約担当課としては、購入金額が高くなっても地元を優先するよう各課に求めているが、地元を優先するという方針が明確になったため、各課とも協力的である。
- かつて、特定地域の事業を行う時に、その地域にある事業者に優先発注したことがあったが、落札率が高くなったことがあり、地元企業優先といえども、その中で適正な競争が行われるように留意している。
- 近年、入札の不調が増えている。そのため、市外業者を入れて入札を行う場合がある。
- 総務省は地元企業優先するように「地域維持型」を推奨しているが、公正取引委員会ではどこまでがセーフティーゾーンか示されていないため、地元企業優先に対して、明確に踏み込んだガイドラインになっているとは言い難いという認識を持っている。
- 市内業者ではできない大型の工事等に対しては、地元企業とJVにしている。その結果、地元業者の業績が上がり、ランクアップした業者がでてきている。地元企業優先は地元企業の育成につながっている。
- 入札に際しては、市内業者だけで賄える内容で、かつ、5組以上あれば、指名業者は市内業者に限定している。
- 地元企業の優先契約に向けて、災害協定を結ぶという考えはなかった。
- 入札については、最低制限価格と低価格調査制度を併用している。
- みやま公園(約200ヘクタール 30億円から40億円)は県と国との補助を受け、広大な敷地と壮大な計画の上にできあっているが、工事の段階で地元業者が参加し、完成後の管理も地元の企業に指定管理をさせている。なお、指定管理者は市内公園すべての管理を請け負っており、契約金額は約1億2千万円である。
所見・提言
どこの自治体も、可能な限り地元企業・地元事業者の優先発注を可能とするように努力しているが、独占禁止法の問題や厳しい財政状況下で、財源確保のために少しでも安価な契約を結ぶ必要性も生じているため、たとえ総務省が地域維持型の推奨を謳っても、自治体として迅速かつ手放しで地元優遇策に取り組めないのが実情であると推察する。玉野市は、地元優先契約の歴史は長く、今までの取り組みをさらに充実させたものといえる。また、市は、地元企業との契約件数目標85パーセントとしているが、これについては努力目標とし、何が何でも地元という硬直化した施策ではない。また、地域優先を実施した際、落札率の高止まりがあり、地元といえでも競争の原理の必要性を強く認識していた。注視するべきは、市のこれまでの地元企業優先施策の結果、事業規模が拡大した地元業者がいるとのことである。地元企業の育成は地域経済の活性化だけでなく、各種イベントや災害時等にキックバックが期待される。
瑞穂町の場合、地元企業との契約行為は近隣市に比べて低い状況である。この要因は行政施策に起因するだけではないが、町内事業者の育成につながる制度への改正は行うべきと判断する。すでに進行している少子高齢化社会、人口減少社会に向けて、持続可能な町の発展を成し得ていくためには、地元経済の発展が不可避なのである。町は、これまで以上に地元経済の活性化・町民の雇用促進の具現化に向け、玉野市をはじめとする先進自治体の施策を参考に、町独自の新制度を創設するとともに、町が地元業者の育成に全力で取り組んでいることも併せて示すべきであると考える。


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