宮崎県新富町及び航空自衛隊新田原基地

更新日 平成30年5月18日

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調査概要

宮崎県新富町(以下、質問は瑞穂町側からのもの。回答は新富町からのもの。)

  • 騒音区域の見直しに対する対応について

(質問)
・平成28年11月、九州防衛局からの航空自衛隊新田原基地の騒音区域の見直しに対する対応は、どのようなものでしたか。また、各政党や地元選出県議・国会議員等への働きかけはどのようなものでしたか。この一連の対応について、町民からはどのような意見がありましたか。
(回答)
・これまで新富町としては、基地対策の課題・問題を、「コンター見直しについて」「住宅防音工事の予算確保」「障害防止事業の実施」「周辺財産の活用及び管理」として認識してきた。また、新富町独自で騒音調査・目視調査を実施してきた。(騒音調査は昭和55年から新富町内5カ所で実施している。目視調査は基地南側より平成23年から、調査内容は離発着回数・時刻・機種・機体番号・騒音値・タッチ&ゴー回数及び飛行ルートである。23年からの平均は年間25,000回以上であり、瑞穂町よりもたいへん多い。
・これまで新富町が行ってきた国への要望は、騒音コンター見直しの際は、第一種区域等の「拡大」と事前説明及び十分な新富町との協議、騒音度調査の数値として加算されない精神的圧迫感や振動・周波数も分析結果に反映させること、新富町全域の住宅に対する防音工事の実施であった。しかし今回の見直しにより、これまでの新富町の要望とは「真逆」の「第一種区域等の「縮小」」が示された。
・新富町としては、国から示された内容に強く反発し、すぐさま臨時新田原基地周辺協議会で見直しを求める行動を起こすことを決定した。
・宮崎県知事や宮崎県議会に要望書を提出するなどの働きかけを行い、年明け以降も周辺自治体や宮崎県、地元選出国会議員とも話し合いを積極的に進めた。新富町の地元区長会も国の案に反対する署名を提出するなどした。
・結果的に、国は説明不足を認め、今回の見直し案の「事実上の白紙撤回」となった。

  • 国からの交付金等について

(質問)
・国からの基地関係交付金等はどのように活用されていますか。また、交付金増額に向けてどのような要請活動を展開されていますか。
(回答)
・「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」に基づき、(同3条)障害防止工事の助成・騒音防止工事の助成、(同8条)民生安定施設の助成、(同9条)特定防衛施設調整交付金、(同4条)住宅防音工事の助成、(同13条)損失の補償、また、国有提供施設等所在市町村助成交付金(基地交付金)、「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(再編特措法)」による(再編交付金)等を基地関係国庫支出金として受け入れている。なお、(同3条)障害防止工事の助成については、新田原飛行場が新富町のほぼ中央の大地に位置していることから、そこからの雨水排水対策が講じられている。基地からの排水路整備を中心に実施している。また、騒音防止工事の助成については、中学校・小学校にて実施している。(同8条)民生安定施設の助成については、新富町総合交流センター「きらり」、水道施設弁指配水池にて実施している。(同9条)特定防衛施設調整交付金については、消防団12部機械倉庫兼津波避難タワー、上新田コミュニティ広場に活用している。再編交付金については、各地区集会所の太陽光システム設置や各地区自治会の電気量補てん、消防団車両や機材の購入、各地域の自主防災組織の資機材購入に活用している。周辺財産の活用(牧草地撫育(防衛省による買取・管理委託・農家買取))などに取り組んでいる。
・新富町単独事業として、激甚地区空調機電気料補助金と放送受信料補助金を実施している。(激甚地区空調機電気料補助金は、毎年4月1日現在第一種区域内に住所を有する世帯に、騒音コンター告示日に関係なく1世帯3,000円 一人当たり1,000円 1世帯上限10,000円を補助金として支給。放送受信料補助金は、半額を補助しており、この地域の世帯は実質放送受信料は無料)

  • 航空自衛隊新田原基地との交流について

(質問)
・新田原基地及び隊員・隊員家族との交流はどのようになされていますか。また、基地との災害対策連携などは図られていますか。
(回答)
・隊員の半数以上が新富町内に在住し、夏祭り等を始め、各種イベント等を通じ地域に入って積極的に交流を図っている。また、新富町職員若手と自衛隊員若手の集団お見合い等も実施した。
・南海トラフ巨大地震への備えとして、住民の応急収容のための「防災門」を基地が設置した。

航空自衛隊新田原基地

視察日程第2日目に航空自衛隊新田原基地を訪問した。航空自衛隊新田原基地は、主な任務としてF-15J戦闘機(主に第305飛行隊)による「防空」(侵攻して来る敵機に対しわが国を防衛するため24時間態勢で待機)、「大規模災害を含む各種災害への対応」(国民の人命及び財産を保護するため各種災害時に隊員を派遣)、「国際緊急援助活動と国際平和協力業務」(国際的な安全保障環境を改善し、わが国に脅威が及ばないようにするため国際平和協力活動に隊員を派遣)などを業務としている。いずれも、国民の生命・財産、領空を守るために必要であり、国民各位の理解を育むことにも寄与している。

なお、視察当日は、熊谷新田原基地司令との面談を始め、配備されているF-15J戦闘機を間近で見学し、現役パイロットより機体の説明と質疑応答をお受けいただいた。いずれも丁寧な対応であった。ただし、このたびの九州北部集中豪雨への対応待機命令で、飛行訓練等はなく、騒音の程度を体感することは出来なかった。

所見

世界情勢は激動の時代に突入したといっても過言ではない。とりわけ、極東アジアでの緊張は増していると感じられる。これは米ソ冷戦構造の崩壊以後、航空自衛隊機の緊急発進回数は減少傾向が見られたが、2010年代以降は再び急増傾向にあることからも明らかである。わが国の領空を守る防衛組織としては、航空自衛隊を主とする。だからこそ、基地が所在することによる周辺環境対策とその説明は、航空自衛隊を所管する「国」、住民に最も身近な「自治体」、ともに丁寧な姿勢であらねばならない。

昨秋、防衛省九州防衛局から騒音コンター見直し等の概要が新富町に示された。これまで新富町と新富町議会は長きにわたり騒音コンターの「拡大」を求めてきたが、国による見直しは真逆の「縮小」であった。これを受けた住民に最も身近な存在である新富町・新富町議会の行動は迅速であった。住民の声を背景に、周辺自治体や県へも働きかけを強め、ついには新富町・新富町議会が、国との直接交渉をするに至った。地元国会議員をも交えた粘り強い交渉の結果、ついには国の当初案の「事実上の白紙撤回」「今後は地元の声をよく聞き丁寧な対応を約束」という電撃的な結果となった。これまでの新富町独自での騒音・目視調査実施等により騒音コンター区域の見直しの変更を阻止できたことは、住民にとっては新富町・新富町議会の存在感を実感できたことと住民の思いを国に届けられたことは大変有意義なことであった。かつて、瑞穂町でも騒音コンター見直し時に石畑地域の山際の騒音レベルを調査し国との交渉に生かす事が出来ず残念な思いも踏まえて、今後に生かすべき事案と考える。新富町は、飛行場が町域の中央に位置しており、国との交渉も単独で行うことができる点は瑞穂町とは大きな違いであり、周辺協議会もあるが対応にスピード感がある。今後研究して第1種地域世帯の日常生活改善につなげていく必要が大いにあると思われる。

新富町は単独事業として、激甚地区空調機電気料補助金と放送受信料補助金を実施している。騒音の対応として住民のニーズに応えていると思われる。国としての支援では本当に苦慮している地域の住民の気持ちに寄り添っていないと感じていたが、こうした取り組みは有益であると考える。瑞穂町は今までこのような施策の展開はなされておらず、滑走路直下にある住民の心に寄り添う施策を考える必要があると思われる。また、周辺財産の活用(牧草地撫育)の取り組みがなされていた。瑞穂町でも不耕作農地が広がっていることから、検討に値する内容と考える。

今回の新富町視察を通じて、国への直接交渉も行い、当初案を覆したという気概を学ばせていただいた。瑞穂町として国の方針に理解することも大事だが、安易にすべて納得・賛成すべきではなく町民本位で行動する事が大事であると改めて痛感した。在日米軍と航空自衛隊という態様の違いはあるにせよ、住民の立場からすれば航空機から発生する騒音を受ける環境に違いはない。また、米軍機による部品遺失が見受けられることから、不安も生じている。これらも改めて認識し、瑞穂町議会としても、わが町が抱える横田基地対策に生かしてまいりたい。

なお、瑞穂町におかれては、下記項目の研究・検討を図られたい。

  • 新富町が町単独事業で実施している空調機電気料補助金と放送受信料補助金、周辺財産の活用の仕組みを研究し、同様の施策推進を。
  • 新富町と新田原基地隊員との積極的な交流事例を参考に、横田基地の米軍人・軍属・その家族、自衛隊員との交流をイベント時だけでなく、日常的な交流が図られるような施策推進を。
  • 災害時の備えとして、住民の応急収容のための横田基地への「防災門」設置の粘り強い要望を。

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