兵庫県太子町

更新日 平成29年3月1日

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調査概要

  1. あえて免震にしない。
    理由:免震装置を設置した場合、震災後、免震装置の安全確認等で異常が発見された場合、建物内での作業が場合によっては概ね3か月間はできない(建築基準法第8条)。
  2. 庁舎内の壁等への印刷物掲示、各課窓口付近へのチラシ等の設置は行っていない。行政情報設置場所を各階1カ所に集中。
  3. 天井からの吊り下げ案内看板の設置をしていない。(全職員がコンシェルジュ)
  4. 必要な行政情報はモニターを随所に設置。ビジュアル化。
  5. 住民情報を取り扱うパソコン画面は町民の死角に設置。
  6. 部課長が職員を見張るような配置にしない。各課が横断的な対応が図れるように各部長は1階の部長スペースに配置。
  7. ロッカー等へのマグネットによる貼り付け禁止。
  8. 行政事務作業に必要なアイテム(ペン、ホチキス等)は全て共有化。(各職員の引出しの有効活用)
  9. 会議室はガラス張り。(顔の部分は曇りガラス)ブラインドカーテンは南側のみ)
  10. 照明は職員作業スペース4000K、住民利用スペース3500K。(柔らかい光)
  11. 廊下等に小スペースをあえて配置。市民の憩いの場所や賑わいを創出。
  12. 随所に町民の作品展示。
  13. 各ゾーンにある椅子やテーブル等は、品質の高いものが設置されている。
  14. 1階以外床面や通路は木製張を使用。(1階部分は雨天時に滑る可能性を考慮)
  15. 出入り口は木目調、格子窓が多用され「和」を演出。
  16. 町民スペース「はらっぱ」には薪ストーブによる「和」の演出や、さまざまな印刷ができる場所を1カ所に集約した印刷室を設置。
  17. 子どもたちが学習や創作活動に来庁。(子どもが自由に創作活動できる公共施設は日本にない。)
  18. セキュリティ対策(防犯カメラ等)により、「はらっぱ」は夜10時までオープンし、庁舎と道路の境がなく、屋外テーブルや椅子も設置されている。
  19. 議場は1階で全面ガラス張り。議会と中庭を一体化した開放型。机は円卓移動式(序列を無くす)。コンサートができるように照明が用途に合わせて変えられる。将来的には結婚式の可能性も。また、緊急物資の保管が可能かつ容易。

河内長野市の視察の様子の写真

特筆事項

  1. 1級建築士の資格を有する部長・課長2名が中心。通常業務の合間を縫って、夜間、土日休日返上での作業、担当課の枠を超え他の課へ指示と関係団体との交渉。(約2年間)。「庁舎を作るなら専従で最低5名は必要と今でも思っている。また、関係各課の職員からは恨まれているような要求をしてきたと思う」(担当者談)
  2. プロポーザルの前にコンセプトは概ね出来上がっていた(担当部課長が海外の庁舎を研究。国内の注目されている庁舎、公共施設の視察を何度も実施した。国内外で庁舎が地域の誇りとなっている事例が紹介された。)。
  3. 福祉・教育・コミュニティの要素を含んでいることが補助金獲得の交渉条件になった。(国や県との度重なる交渉。庁舎を作るためとは一言も口にせず。)
  4. 公共施設の愛称や使い勝手は4年生以上の児童・生徒のアンケートを参考に作った。子どもたちに町への誇りと郷土愛護を涵養するため。
  5. 子どもたちへの公共心の涵養のため、子どもたち手造りの新庁舎の模型作成、建設の様子の写生会と防護壁にプリント。他にも老朽化した体育館の取り壊しの際には、館内に落書きさせる。工事請負業者による「工事だより」の発行。
  6. 椅子等の品質に拘った理由は、子どもたちには本物に触れてもらう機会が必要と判断したため。
  7. 議会からは経費のかけすぎとの批判や説明責任を果たすように要請された。
  8. 新庁舎建設に対して町民から多数の批判。議会からの要請もあり住民説明会を多数開催。説明会への参加される方は殆どが建設反対派。
  9. 新町長は新庁舎に否定的な立場であったが、現在は理解しつつある。

町民の声、利用状況

  1. 当初は関心がない。
  2. 公共施設への多額の財政支出に批判が多数。
  3. 利用度は高い。

所見・提言

太子町の新庁舎は、単なる庁舎ではなく、庁舎という空間に町民のいこいの空間、子どもたちへのメッセージや願いまでも内包された文化的施設といえる。まさに太子町のレガシーであり、今後の庁舎としてのあるべき姿を体現している。注目すべき事項は既に記載しているので省略するが、付け加えるならば、庁舎敷地内にある高床式の資材置き場である。1000年間に一度のペースで大洪水に見舞われていることから、あえて高床式に作ることで、万が一に備えると共に、住民へ防災意識を啓発するシンボリックな存在としての付加価値を意図したものと推察する。

これらが実現できた背景には、1級建築士の資格を有する職員(部課長)が理想を追求し、研究に研究を重ね、ビジョンに対して妥協することなく取り組んだこと、そしてそれを認め背中を押した前町長の存在が大きい。

わが町も新庁舎建設に向けて着々と計画が進められているが、太子町のように1級建築士の資格を有する技術職員はいないため、工事が適切に進捗されていくか、最大限の注視をもって臨まなければならない。また、計画敷地近くには断層が走っており、免震構造といえども油断することはできない。こうした状況を勘案した時、今後、技術職員の確保・育成に努める事を委員会として提言する。

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