広島県呉市

更新日 平成29年3月1日

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調査目的

少子高齢化が進み、医療費が増加している。健康寿命を延ばす取り組みが必要である。そこで、糖尿病性腎症等重症化予防事業に積極的に取り組んでいる呉市を調査見聞し、わが町の施策に活かすことを目的とする。

調査概要

呉市では、年々増加していく医療費に対し、市民の健康寿命を延ばすことと医療費の適正化を目指し、レセプト点検の充実・効率化、レセプト情報の活用による医療費等の分析、ジェネリック医薬品の使用促進通知、訪問指導・重症化予防など各種保健事業に取り組んでいた。この取り組みを進めるうえで、市では医師会・薬剤師会と相談や協議を重ね、理解と協力を得ている。

ジェネリック医薬品使用促進通知は、初期の2年間は毎月、以降は隔月、切り替えによる効果の高い方約3,000人に通知書を郵送。2年後には通知者の約70パーセントが切り替え、5年半の累積薬剤費削減額は約6億5,360万円に上る。

レセプト点検の充実・効率化では、呉市は独自のレセプト点検システムを民間と開発し、レセプトを自動点検(データベース化)し、付箋を作成する(分析)。これにより重複受診、頻回受診、重複服薬履歴、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)の放置等を発見し、対象者に対し訪問指導を行っていた。生活習慣病治療放置者に対しては2疾患以上の方は訪問で、1疾患では文書通知で受診勧奨を実施していた。また、レセプトデータによる医療費分析で、重症化予防事業を展開していた。まずは、医療費負担の大きい糖尿病性腎症等の重症化予防。レセプトデータから対象者を抽出し、重症化予防プログラムへの参加勧奨を行う。この際、医師会と連携し治療方針の提示や患者の取り組みに対する肯定的評価などを行ってもらうと共に、市へ実施内容の報告を行ってもらう。新規人工透析者の発生件数は減少しており、効果が上がっているとしていた。これを受け、CKD(慢性腎臓病)重症化予防(糖尿病性腎症を除く)にむけ、予防プログラム事前調査研究を地元の広島大学院と開始している。

その他、市は三師会(医師会・薬剤師会・歯科医師会)と連携し、呉市地域保健対策協議会を組織し、地域総合チーム医療の推進に取り組み、脳卒中再発予防事業を開始。医療チームによるプログラムの実施、地域連携パスの作成、身近に生活習慣病の改善を図れる場の整備を推進していた。

平成25年度の実績として、医療費は1億4,730万円の減となっている。予防事業の成果として報告があった。

所見・提言

呉市が医療費健全化事業の取り組みを開始する背景には、高齢化に伴う国保加入人口の増加と医療費の増加がある。これは、わが町にとっても同様の課題である。

呉市の取り組みは、レセプトのデータベース化と分析による活用が大きな成果に繋がっている。レセプトデータを丁寧に分析することで、使用薬の内容や重複受診・頻回受診などが把握でき、適切な指導によって医療費の適正化に寄与している。また、糖尿病性腎症等予防プログラムの対象者もいち早く特定し、食事や運動などの行動目標を設定し、専門の看護師の個別指導などでステージ悪化を防ぐことに成功していることは大いに着目すべき点と考える。さらに、CKD(慢性腎臓病)重症化予防事業や脳卒中再発予防事業などの展開も図られている。ジェネリック医薬品使用促進の取り組みも、通知書送付のみではなく、状況によって訪問指導も実施するとともに、医師会との協議がなされていることから、切り替えが着実に進んでいることも大いに参考となった。

わが町でも予防事業には積極的に取り組んでいるが、更なる効果を上げていくためには、呉市のようなレセプトデータベースの活用による適宜適切な指導や予防プログラムを進める取り組み、三師会との連携による地域総合チーム医療の取り組みを是非とも検討すべきであると考える。

広島県呉市の視察の様子の写真

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