広島県安芸高田市

更新日 平成29年3月1日

ページID 437

印刷

調査目的

高齢化が進み、誰もが住み慣れた地域で住み続けられるためには、住民が互いに見守り合い、支え合うことが求められている。安芸高田市の「市民総ヘルパー構想」に基づいた各種事業、特に「生活・介護サポーター養成講座」の取り組みを調査見聞し、今後、わが町の高齢者施策への参考とすることを目的とする。

調査概要

安芸高田市では、高齢化率が37パーセント(平成27年9月末時点)を超え、福祉・医療・介護などに要する費用が年々増加傾向にあることから、将来、いかなる財政状況になっても、市民の生活を守る仕組みを構築することが市の必須の課題であるとして、市長が「市民総ヘルパー構想」を提唱した。これは、行政と市民が自助・共助・公助の役割分担を明確にし、旧来より地域に伝わる「もやい」の精神を復活し、医療・福祉・介護などに要する費用を少しでも抑制できるよう、市民の協力により行政を補完していく取り組みである。その構想を展開するために3つのポイントを設定した。1つ目は、「市民全体にかかわるものとすること」。2つ目は、「今住んでいる人が安心して暮らし続けられるようにすると共に、新たな転入者を増やすことも視野に入れること」。3つ目は、「市民一人ひとりが自分たちの持つ強みに気づき、それを活かすこと」である。具体的な取り組みとして、平成21年度から「安心生活創造事業」を開始した。これは、日常的に一人暮らしをしている方や、高齢者・障がい者世帯等で支援が必要な方に、市民が連携し、見守りや日々のちょっとした困りごとのお手伝いをし、誰もが地域の中で安心して生活できるよう登録訪問員が支援する事業である。そして、その事業で活動していただくボランティアを育成するため「生活・介護サポーター養成講座」をスタートさせた。(初めの3年間は年2回、以降年1回の開催)

「生活・介護サポーター」とは、地域で生活されている高齢者や障がい者を少しばかりの応援(支援・協力)で、自分らしい生活ができるようサポートする人のことであり、それとともに、自分自身も心に「元気」をもらって自分らしい生活ができる活動をする人のことである。安芸高田市では「お互いさま活動」(自分にとっても相手にとっても有益になる活動)と呼んでいた。養成講座の内容は、「講義」「演習」「実習」の3本柱でのべ5日間、16時間の研修で、サポーターの定義、地域でサポートするときの人とのかかわり方やノウハウを学び、福祉施設で実習して修了となる。平成27年度(10月実施)までの修了者は491人に上っている。養成講座修了者の多くは、安心生活創造事業の登録訪問員として活躍していた。登録訪問員は有償で高齢者、障がい者世帯で支援の必要な方に生活支援を行う。基本は月に1回巡回訪問し、安否確認、変化の察知、消費者被害防止、情報提供、話し相手、買い物宅配支援を行う。さらに週1回訪問し、手紙・文書の整理やごみ分別、電球の取り換え等の仕事もこなす場合は、契約訪問となる。この契約訪問では、薬の受け取りや病院内の付き添いなどの支援を行うこともある。その他、安心生活創造事業利用者の支援をしてもらう店舗「お太助協力店」の登録を推進していた。

今後、ボランティア手帳によるボランティアポイント化等を盛り込んだ「新しい総合事業」(平成29年度から実施予定)につなげていきたいとのことであった。

所見・提言

安芸高田市は、中山間地域を多く有する広大な面積に、わが町と同程度の人口が生活する市で、高齢化率は37パーセントを超え、福祉にかかる費用の増加も大きな課題となっている。そこで、市長は、「お互いさま」精神に基づき、「市民総ヘルパー構想」を提唱し、いかなる財政状況においても、市民の生活が守られる仕組みづくりとして「安心生活創造事業」に乗り出した。「生活・介護サポーター養成講座」では、実際の現場で使える知識と技能を身に着けることを目的として実施され、地域の中で登録訪問員として活躍できるシステムになっている。高齢者や障がい者が少しばかりの支援を受けることで自分らしい生活ができ、また、サポートする側もそのお手伝いができることで心の元気をもらい、自分らしい生活を送る力を生みだすこの取り組みは、地域包括ケアシステムの構築を目指すわが町にとって、大きなヒントを与えてくれるように思う。また、わが町でも地域の見守り活動を重視し、緩やかな見守りができる人材の育成に着手し始めているが、安芸高田市では、「緩やか」より一歩進んだ「見守りの人材」を育成し、かつ、そうした人材が活躍できる場の提供まで事業化されている。この点は大いに着目すべきと考える。さらに、サポートする側、される側といった定義をなくし、「お互いさま」とする考え方は、今後の高齢者施策を考える上で大切なポイントであると考える。

人が一番の資源であり、人を活かすことで町を活性化させるとした安芸高田市の取り組みは、大変参考になった。

広島県安芸高田市の視察の様子の写真

このページについてのお問い合わせ先

議会事務局 議事係

〒190-1292 東京都西多摩郡瑞穂町大字箱根ケ崎2335番地
電話 042-557-7693
ファクス 042-557-4433
メールフォーム
受付時間 平日の午前8時30分から午後5時まで

アンケート

ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。


簡易アンケート

より詳しくご意見・ご感想をいただける場合は、メールフォームからお送りください。