兵庫県三木市

更新日 平成29年3月1日

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調査概要

  1. 中小企業サポートセンター(以下、SC)は現市長の3期目の立候補の際のマニフェストであった。
  2. SCの立ち上げは中小企業振興条例に基づいたものであり、それを具現化するために何をどうすべきかを検討し施策を展開していた。
  3. SCの立ち上げは中小企業診断士の資格を有する職員1名が中心となって実現させた。
  4. SCのアドバイザーは5名とも第一線で活躍する優秀な人材であり、その人材を確保するために交渉時期、交渉内容等を十分検討し、報酬等の見直しも行っていた。(忙しい中小企業診断士は優秀であり確保が困難である)
  5. SCでは、起業あるいは事業内容について三木市内ですべての手続きを完了できるようになっている。また、その手続きに要する費用等については、ほぼ全額が市から補助される。
  6. 特許権の申請については市内に在住している弁理士と連携している。また、特許権等の申請にかかる経費の2分の1が補助される。
  7. 市内商工会や観光協会との関係は、円滑で密接に連携しており、事業内容は重複していない。
  8. アベノミクスがSCの追い風になっている。 (以前は、失業対策だったが、アベノミクスにより企業を育成しやすい制度になった)
  9. 農業・中小企業・小売店等、後継者問題を抱えている。また、各業種ともコンセンサスが取れているとは言えない。強力なリーダーが現れることを願っている。現況では個別で経営指導を受けている方が多い。特に農業では6次産業に向けたアドバイス件数が増加している。
  10. SCに関しては条例化が望ましいが、現段階では設置されていない。
  11. 産業関係の職員体制は約50名(正職員25名)おり、一般財源に占める割合は5パーセントから7パーセント前後である。
  12. 気軽に女性が起業相談を受けられるように、分かりやすく丁寧に説明するよう心掛けている。現時点で、介護・子育てといった福祉関係の起業についての相談割合が多い。
  13. 現在の課題はSCの知名度を高めることである。現在、アドバイザーと共に大手企業を訪問している。また、市内業者をアポイント無しで訪問している。(アポイントをとると事前に断られるケースが多々ある)
  14. SCの知名度を高める目的は、企業誘致や雇用の創出による人口増へのねらいもある。
  15. シルバー人材センターの担当は高齢者対策部署でなく、産業振興部署の豊かなくらし部である。

所見・提言

三木市の産業振興は、まず、産業における自治体の役割と責務について、市自体が非常に高い理想と成果を求めていることが特徴といえる。産業振興セクションである豊かなくらし部には約50名のスタッフがおり、毎年一般財源の約5パーセントから約7パーセントを産業振興に充当している。わが町の担当スタッフの数と一般会計に占める割合が毎年約0.5パーセントであることを鑑みれば雲泥の差である。さらに市では「中小企業振興条例」「商業振興による地域活性化に関する条例」「地域ふれあい商店支援補助金交付要綱」など、産業振興に関する条例等の数は80を超えている。もちろん、関係条例等の数が産業施策の優劣のバロメーターとは言いきれないが、三木市の場合、条例を具現化させるために、しかも、最大の成果が得られるように、必要な施策を積極的に創設している点は、わが町の産業施策を大きく凌駕していると認めるべきである。特に学ぶべきは、中小企業診断士の資格を自ら有する職員の視点と行動力である。その一例としてサポートセンターのアドバイザーの人材確保がある。有資格者であるかどうかではなく、同じ有資格であっても優秀な人材を取捨選択し確保するために、交渉時期や交渉条件に見合う報酬を、報酬条例までも改正し、契約に至ったのである。まさに、制度を生かすも殺すも「人」であることを実践しているといえる。その他、様々な施策を展開しているが、公費負担の考え方や事業内容についての議会状況を、同席して頂いた議長に伺ったところ、「人口減少に歯止めをかけるためには労働者の受け皿となるべき企業の充実が必須条件であり、その点を肝に銘じて邁進することが必要というのが多くの議員の考えである」との言葉を頂いた。

また、何を産業とすべきかについての認識がわが町よりも広範な視点に立っている点も見逃せない。わが町ではシルバー人材センターの窓口は高齢課であるが、市では豊かなくらし部が窓口になっている。産業振興セクションが受け持つことは、利用者サイドから見れば、矜持を損なうことにはつながりにくく、また、事業内容の発展充実の点からも有効な体制といえる。 今後、少子高齢化や人口減少が予測される中で、町の自主財源の確保は将来都市像の実現に欠くことができない課題である。そのためにも、町の産業振興に向けた取り組みが、大きな成果として表出するように、三木市の事例を参考に議会と行政が一体となって取り組む必要があると考える。

特に、町の産業振興施策をさらに推進するため、予算と人員の確保や組織改革、企業誘致に留まらず、起業がしやすい制度の創設等を検討されたい。

兵庫県三木市の視察の様子の写真

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