長野県佐久市

更新日 平成29年3月1日

ページID 410

印刷

調査目的

町では、平成25年1月高齢化率は22.4パーセントで7,581人と増加しており、高齢者対策が重要になっている。元気で楽しく歳を重ねていけるためには、健康であること、生きがいを持つことは大切である。そうした取り組みを実践し、全国に健康長寿の名を馳せた佐久市の取り組みを調査し、町の高齢者施策の拡充に寄与することを目的とした。

調査概要

高齢者施策

佐久市は、医療機関・福祉施設が多く設置されており、安心感のある町である。平成24年10月調査によると65歳以上の人が26,516人でそのうち寝たきりの人が1,244人で約4.7パーセント。長寿全国1位である長野県の平均寿命は男性80.8歳、女性87.1歳。佐久市では男性81.7歳、女性88.0歳。全国では、男性15位、女性19位で長野県内では男性8位、女性1位と健康と長寿の市となっている。高齢者支援事業のメニューも77あり、高齢者対策には力を入れているが、介護と認知症対策は喫緊の課題として、特に力をいれ、新規メニューを立ち上げ取り組んでいた。一つが認知症施策総合推進事業で認知症の方が適切なサービスが受けられるよう、認知症地域支援推進員を配置し、支援関係者との連携を図り、認知症の正しい認識を持つことと適切な対応をすることを目的とする事業。二つ目が地域包括ケア実践事業で高齢者が住みなれた地域で、生活支援サービスが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」を生活圏域ごとに構築する事業である。
一つ目の事業の認知症施策総合推進事業では、認知症の方に対し、状態に応じた適切なサービスを提供できるよう支援する専門職員として「認知症地域支援推進員」を配置していた。また、高齢者のみならず、介護期間も長く、社会的にも個人の生活でも、周囲の人への影響や本人の負担が計り知れない65歳以下の若年性認知症の支援の検討に向けての実態調査も実施している。平成24年度からは、脳の健康度測定事業を開始し、65歳以上の方を対象に、現在の自分の脳機能について知ることにより、自ら認知症予防への取り組みがスムーズにでき、正しい知識を得ることで正しい理解と対応ができる取り組みをしていた。さらに、認知症サポーター養成講座を積極的に推進し、現在4,000人もの人が修了しており、この方々の協力を得ながら、これからもいろいろなケースを想定し、地域・行政・関係機関等と連携を密にして展開を図っていくとのことである。
二つ目の事業は、介護予防二次予防高齢者を対象とし、体の変調が現れると言われている75歳の方を全戸訪問し、状況把握を行っていた。それに基づいて、個人の状況に合った通所型・来所型・訪問型の介護予防事業を実施し健康維持を図っていた。また、元気な高齢者に対しては、早期での取り組みが認知症予防に効果があるとして、介護予防一般高齢者施策として8つの予防普及啓発事業を実施していた。その中の「はつらつ音楽事業」は、音楽の先生により、歌や楽器演奏などで右脳を刺激し、認知症予防を図るもので、参加者からは期待されている講座の一つであると説明があった。そのほか、ピンコロ長寿いろはカルタなどの媒体を使った栄養士による身近なサークルなどでの栄養改善教室や転倒骨折予防事業、はつらつ水中ウォーク、元気向上教室事業などにも果敢に取り組んでいた。
また、地域介護予防活動支援事業の中の一つに、平成19年度から実施している介護予防指導者養成事業(通称:お達者応援団育成塾))があり、2年間の受講の参加者は約600人が参加し、研修終了後、それぞれの地区の指導者となって活躍している。

高齢者大学

佐久市では、昭和54年から「高齢者大学」を設置している。高齢者は心身ともに健康で社会活動に参加することが大切であり、各種学習を通じ高齢者としての教養を深め、お互いの仲間づくりと人間性豊かな生きがいある生活を送る趣旨で、65歳以上の学習意欲のある人が一年間無料で授業が受けられる。各講座は地域資源を生かした身近な講師で実施していた。平成25年度は男性69名女性119名平均年齢74.5歳で最高齢者は95歳であり、そのうち連続受講者が14名 新人が34名であった。授業は18回予定されており、80パーセント以上の出席者には修了証書が授与される。

高齢者大学大学院

平成20年より、社会参加活動を更に推進するため、高齢者大学修了者を対象に、地域や団体活動のリーダーとしての必要な知識や技能等を修得・養成するために「大学院」を設置した。入学者の定員は23名で、修業年限は1年とし、授業料は無料であるが大学院終了後、「佐久市生涯学習リーダーバンク」に登録し、地域の要請に応え、講師を務めたりできる。現在173分野中45分野に登録済とのことである。平成25年度は男性11名、女性12名、平均年齢75.5歳で最高齢者は87歳であり新人が9名であった。授業は12回予定されており、90パーセントの以上の出席者に修了証書が授与される。両大学とも出席率がよく意欲的で心身健康増進にも大いに貢献できている。

所見

佐久市は、自然環境を活かし長年にわたり医療施設や医療機関と行政・住民との連携により、多くの高齢者が元気で生活している地域となっている。しかし、高齢化が進むにつれ、介護や認知症対応は我が町同様喫緊の課題とされ、新規事業に取り組むなど、特に力を入れていた。認知症対策では、脳の健康度測定を実施している。これにより、住民は、それぞれ、自分の脳機能について知り、認知症予防への取り組みを自身の生活に取り入れていけるとともに、認知症の正しい知識を習得し、正しく理解することで、よりよい対応ができる。この取り組みは大変有益で、我が町にとっても大変参考になる事業である。また、こうした事業により、住民の認知症に対する意識の高さが、4,000人もの認知症サポーター養成講座の修了者がいる事に繋がっていると思われる。我が町でもこの事業は行なわれているが、佐久市を参考に、更なる意識啓発が必要であると感じた。
介護予防事業の推進では、まず、高齢者の情報を把握するため、全戸訪問を実施している事は、施策を効果的に進めるにあたり、大変重要かつ、的確な施策であると考える。この状況把握が、通所型、来所型、訪問型とに分けて予防施策を組み立て、ニーズに合わせて選択できる取り組みになったものと考えられる。より多くの住民が参画できる案であると思い、大変参考になった。また、若年性認知症については、早期発見が大切とされるが、佐久市では、一般高齢者の予防事業も展開し、予防啓発推進の為に、「寝た切りゼロ運動推進事業」「はつらつ音楽サロン事業」「はつらつ水中ウォーク事業」など、参画したくなるような項目が考えられている。早くから認知症に関心を持ち、予防できる取り組みは、今後、ますます重要と考えられる。加えて、「お達者応援団育成塾(介護指導者養成事業)」も大いに参考になる事業であると思われる。
「高齢者大学」と「高齢者大学院」は、公民館事業として推進されているが、高齢者の学習意欲を高め、生きがいづくりに繋がる、大変意義ある事業と考える。大学に留まらず、学んだことを更に深め、役立てられる道に繋がる大学院の設置は、高齢者に元気をもたらし、大変有益な高齢者施策と考える。
佐久市のバラエティーに富んだ高齢者対策は、我が町の高齢者施策にとっても大いに参考になると考える。

視察の様子

このページについてのお問い合わせ先

議会事務局 議事係

〒190-1292 東京都西多摩郡瑞穂町大字箱根ケ崎2335番地
電話 042-557-7693
ファクス 042-557-4433
メールフォーム
受付時間 平日の午前8時30分から午後5時まで

アンケート

ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。


簡易アンケート

より詳しくご意見・ご感想をいただける場合は、メールフォームからお送りください。