愛知県新城市

更新日 平成29年3月1日

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調査目的

新城市の協働推進施策として「地域自治区制度」を調査し、わが町の「協働のまちづくり推進施策」の参考とする。

調査概要

1 地域自治区制度の概要

1市1町1村の合併により誕生した山間部や都市部を抱える新城市として、地域自治区制度は、地域ごとの異なる課題と限られた財源を効果的に活用するための制度である。また、市民と市役所が課題を一緒になって考え、活動する仕組みでもある。新城市は市内にある139の行政区を10の地域自治区に区分けしている。(当初案では8地域自治区案であったが、市民との検討の結果、市も柔軟に対処し、10地域自治区となった。)

2 地域自治区の設置

地域ごとの将来や課題解決に向けて、市役所とともに考える住民組織としての「地域協議会」と、その地域協議会をサポートするための市役所組織「自治振興事務所」という二つの組織によって構成されている。

3 地域協議会の設置

地域のことを話し合う「地域協議会」は、主に三つの役割がある。

  • 答申 市長からの問いかけに意見を述べる。
    (市の重要施策や計画で地域に関わるもの)
  • 建議 地域に関する市政への改善提案を行う。
    (地域自治区予算の活用など)
  • 審査 市民活動の支援について審査を行う。
    (地域活動交付金の審査)

なお、地域協議会は、地方自治法に基づく市の附属機関に位置づけられる。委員構成については、行政区長や行政区長会の推薦、各種団体からなるなど、地域によってさまざまである。
(任期は2年であるが再任は妨げない。報酬は日額3,000円。)

4 自治振興事務所の設置

地域と地域協議会をしっかりとサポートする「自治振興事務所」は、おもに二つの役割がある。

  • 地域の総合相談窓口となって、市役所担当課との調整や解決方法提案などを行う。
  • 地域協議会の事務局としてサポートする。

なお、市の自治振興事務所の具体的な構成は、10の地域自治区を3か所の事務所で網羅し、14人の専属の市担当職員を配置している。地域協議会をはじめ市民が市へ要望や相談の際、自治振興事務所職員が住民の側に立ち、文字通りサポートをする体制にあるとのこと。

5 地域自治区予算

市総額で市税の「1パーセント」にあたる7,000万円を確保し、地域自治区への配分額は地域自治区の人口と面積で算定している。
(人口×1,000円+面積×4万円)

6 地域活動交付金

市総額で3,000万円を確保し、地域自治区への配分額は地域自治区の人口と面積で算定している。
(人口×500円+面積×1万円)

所見

愛知県新城市は、合併によって誕生した面積約500平方キロメートルいう広大な自治体であり、山間地や都市部など、地域課題が多様な自治体である。そのような中、新市長は協働を推進するために、自治基本条例の制定や地域コーディネーター制度の導入に取り組んできた。しかし、コーディネーター制度では市職員の関わり方、取り組み方が一元的ではなく、批判の声が多く寄せられる結果になったとのことである。そして、それに変わる制度として平成25年4月「地域自治区制度」という新たな協働モデルをスタートさせた。この制度の特筆すべき点は、「自治振興事務所」の設置である。事務所の職員は行政職員であり、地方自治法改正により一般職員の業務として認められるのである。言い換えれば住民相談を受ける専門職員が一般行政職員と認められた形であろう。現在、各地域が自主的に予算内で地域行事を行っているとのことで、わが町の「地域づくり補助金」のような補助対象メニューは存在しない。すべて地域の自主性に委ねられており、結果として地域の自主性が醸成されつつあるとのことで、今後の発展が期待される。しかし、担当者の話では、「この制度について、当初、ほとんどの職員が懐疑的で、担当者本人が反対の立場の急先鋒だった。なぜなら、住民批判を受けた場合、内容によっては事務所職員が針の筵(むしろ)のような状況になったり、職員が職員を批判することになるのではないかなど大きなリスクを伴うと思った。」とのことである。
わが町も石塚町政4期目の柱として「協働のまちづくり」を挙げている。我々委員会としてもその方向性は同意するものである。しかし、我々が心がけておかなければならないことは「協働の進め方に特効薬は無い」と認識することである。地域コーディネーター制度で成功している自治体もあれば、そうでない自治体が現に存在しているのである。したがって、新城市の取り組みを我が町で導入しようとしても成果が期待できるかは定かでない。市から学ぶべきは制度ではなく、協働の実現のために諦めなかったことである。

最後に、わが町にはわが町にあった協働施策が必ずあると信じ、最後まで諦めずに模索していくことを提言したい。そのための協力は委員会としても惜しむものではない。

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