静岡県掛川市

更新日 平成29年3月1日

ページID 415

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調査目的

15年が経過した掛川市の精神回廊について、市の事業経過ならびに現状の課題等を見聞し、わが町の回廊計画の参考とするものである。

調査概要

1 「緑の精神回廊」の目標

「緑の精神回廊」は、防災と美観の公共空間を兼ね備えた緑あふれる歩道のネットワークである。多くの市民がこの回廊を気軽に散歩しながら、健康増進に役立てたり、あるいは沿道の神社、仏閣、史跡、古木に思いを深めることなどで、このネットワークが賑わい創出の空間になることを目指した。

2 2つの拠点とネットワーク化構想

整備に取り組んだ地域は、市街地の2つの核である、掛川城公園を中心とした「教育・文化・商業・観光ゾーン」、新市庁舎や生物循環パビリオンがある「行政・財政・環境ゾーン」、およびこの2つを結ぶ賑わいの歩行空間としての逆川回廊が主な整備エリア(2核1モール)となっている。
2核1モールの中心市街地を有機的にネットワーク化し、活性化させるまちづくりを計画し具体的に推進するには、市民の誰もが参加できる内容とシステムとする必要がある。

3 事業の推進と官民協働まちづくりの気運の盛り上がり

緑の精神回廊事業費(平成12年から平成25年)は、全体事業30億7千万円(内訳国庫補助10億1千8百万円、県補助3億2百万円、市17億5千万円)である。その中で、まちづくり交付金事業費(平成16~20)は基幹事業12億8千3百万円、提案事業7千9百万円で合計13億6千2百万円である。
1期事業(まちづくり交付金事業、平成16年から平成20年)を終えて、目標の指標を達成できたが、課題も見つかった。例えば、城郭エリアを整備し、来訪者は増加したが中心市街地までの流入がない。また、来訪者の増加が地区全体の活性化に結びついているとは必ずしも言えない。さらには街中に空き店舗が増え、入り込み客が減少し、中心市街地の機能が低下していることなどである。これらの課題を解決するため、次期計画を検討・策定し、社会資本整備交付金を活用した、2期事業(都市再生整備計画 緑の精神回廊地区、平成21年から平成25年)では、以下の4つの整備目標を掲げた。

  • 中心市街地に核となる施設を整備し、1期事業による城郭エリア整備による集客を導き、賑わいの再生を図る。
  • 城郭エリア等の伝統や歴史性の保存とそれを生かした観光・交流の促進。
  • 緑の精神回廊の歩行者数を増やすことによる歩行文化の創出とスローライフの促進。
  • 地域の玄関口である駅舎景観の向上を図ることで、木の文化や歴史的町並
    みづくりの市民意識を高め、街中への来訪者増につなげる。

これらの事業の推進により、平成21年度には、市民ボランティアの方々の運営による駅前の地域交流施設「おいでぇ家」の設置をはじめ、平成22年10月より、けっトラ市実行委員会による「街なかストリートけっトラ市」(毎月第3土曜日)の開催や、友引ストリートカフェ実行委員会による「友引ストリートカフェ」(年5回開催)などが立ち上げられ、官民協働のまちづくりの気運は大いに盛り上がった。

所見

掛川市は日本で初めて「生涯学習のまちづくり」を宣言し、各種施策や施設建設に反映してきているが、市の回廊計画もその一つの位置づけになっていると推察できる。現地訪問では、かつての東海道宿場町や城下町としての賑わい、物想いに耽りながらゆったりと散歩してきた歩行文化・スローライフがあったことを思い起こさせてくれるなど、「緑の精神回廊」として確実に具体化されていると感じることができた。この回廊計画推進に当たっては、元市長の生涯学習都市実現に向けての揺るぎない信念と、その実現に向けて「住民自らが望むべきものを自らの手で」という生涯学習の本旨目的である自主自立の精神を涵養してきたことが背景にあると推察する。例をあげれば、新幹線掛川駅、東名高速道路への掛川IC誘致、掛川城の復元整備など、そのほとんどが税金ではなく市民・事業者による積極的な寄付と運動で具現化したのである。したがって、市の緑の精神回廊においても、計画推進にあたっては、住民の「自主自立の精神」が潜んでいると推察できる。
また、回廊の内容を注視していくと、回廊計画の点と点が多くの市民の寄付によって再建された掛川城と市民のボランティアによって運営されている店舗が繋がっていることに気づく。回廊を具現化するに当たり、住民の出資による施設、住民の善意の活動の拠点が点として位置づけられている点は参考にすべきである。それと同時に、「住民参加」「協働」にはさまざまな形があることを市の回廊が示してくれたことを深く受け止めたい。
わが町としても、回廊計画推進にあたり「何を点とすべきか」「住民参加の形として何が良いのか」など、改めて再考する必要があるのではないだろうか。

最後に、町が示した「回廊計画の青写真」はたたき台の一つであり、そのたたき台を基に、町民が作り上げていくことを、しっかりと町民に分かりやすく示していくように、委員会として提言するものである。

視察の様子

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