山口県岩国市

更新日 平成29年3月1日

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調査概要

岩国基地は、米海兵隊岩国航空基地及び海上自衛隊岩国航空基地と、共同使用されており、基地面積は、約792.4ヘクタール、米軍(専用)235.8ヘクタール、米軍・自衛隊(共用)553.3ヘクタール、自衛隊(専用)3.3ヘクタールである。その他、通信施設に約2.4ヘクタール、水上飛行機の発着、船舶の係留施設のため、地位協定に基づく提供区域(水域)約18.7平方キロメートルを保持している基地である。

航空基地の使命である滑走路は、延長約2,440メートルで幅員約60メートルであり、横田基地と比較し、総面積は同規模であるが、滑走路は短めに設計されている。また、航空機騒音対策として、山口県および岩国市で構成する「岩国基地騒音対策連絡協議会」の事務局を岩国市が担当されている。航空機騒音を監視するため、固定側点9箇所、移動側点4か所で行い、監視測定をオンライン化し、常時測定を記録している。

また、米軍・自衛隊による航空機に起因する事故が、近県を含み昭和23年から平成23年8月まで、94件発生し、昭和43年6月米軍F-4ファントムジェット戦闘機が、九州大学構内に墜落した。同機種が岩国基地に配備されていることから、重大事故の未然防止や騒音削減施策として、現滑走路から約1キロメートル沖合いに移設し、日常生活上の障害などの軽減を図った。

また、基地交流では、多くの市民が参加できる祭りなどを活用し、コミュ二ティーの啓発と、日米文化交流を積極的に取り入れ推進されている。

1 米軍岩国航空基地周辺整備対策事業について

岩国市は、基地に対する基本姿勢として、基地は国防という高度な政治的目的によるものであり、基地の存在そのものについては、国の施策であり、基本的には是認するものであるが、そのため特定地域の振興が阻害されてはいけないという基本方針にもとづき、「基地障害の軽減」「基地周辺整備等の積極的な促進」という2つの目的を達成するため、基地問題担当部課を設置し、基地政策担当 部長、課長、班長、係長、係員の5名を配置し、職務に当っている。前市政当時は議会に基地対策常任委員会を設けていたが廃止され、親善関係の促進、基地に起因する諸問題解決を図る協議を行うため「日米協議会」を設立し、基地対策に関する多岐に渡る事項を担当している。

(1)飛行規制等の制定

岩国日米協議会確認事項を作成し、飛行方法や飛行時間、エンジンテスト等に付き細部にわたり、規則等を定め遵守するよう求めている。

(2)着艦訓練

厚木基地から飛来する米空母艦載機が行う、夜間着陸訓練(NLP)は、その特殊性から、他に類を見ない騒音を発生させるもので、基地近辺はもちろんのこと、近隣自治体にまでわたる多くの住民の家族団らん、受験勉強、睡眠休養等、夜間の平穏な生活に多大な障害を与える。平成5年4月から硫黄島においてNLPの大半が実施されたが、訓練主要基地である硫黄島が悪天候あるいは支援等の問題で使用できない場合の予備基地として指定されている。しかし、平成12年9月に、1週間前までの通告もなく訓練が実施された。岩国市の呼びかけにより、平成13年1月 NLP実施の4基地関係市長等の意見交換会を開催し、共同発表された。また、山口県、岩国市及び由字町の三者による「基地対策等に関する要望書」を提出、防衛施設庁からNLPに関する回答を受けた。日米両政府は、次項に付き了解している旨であった。

  1. 合衆国政府は、引き続き出来る限り多くのNLPを硫黄島で実施する。
  2. 合衆国政府は、本土の飛行場においてNLPを実施しなければならない場合においては、合衆国政府は、従来の慣行を継続し、出来るだけ早く日本政府に通知するとともに、騒音・環境等に最大限配慮する。

(3)オスプレイ一時陸揚げについて

岩国基地への新型輸送機MV-22オスプレイの陸揚げ・一時駐機に反対する意見書を平成24年6月22日に議会が国へ提出する。平成24年7月23日オスプレイ陸揚げの実施、平成24年9月21日準備飛行、平成24年10月6日全機オスプレイが普天間基地へ離陸。

(4)愛宕山地域開発

岩国基地の沖合移設事業による新滑走路の運用が開始されるのと並行的に、愛宕山地域開発が具体的に進展することになり、国による「愛宕山用地における施設配置(案)の住民説明会等を実施し、平成24年度国家予算が決定され、米軍家族住宅の設計に要する経費約6億円、防音助成に18億円が計上された。これに伴い県・市が関わる住宅供給公社と国との間に売却契約が成立し締結された。中国四国防衛施設局及び県市と一体となり、米軍家族住宅と住民要望を取り入れた市の総合的・医療・福祉・防災機能を有する諸施設開発計画が現在進捗中である。

(5)岩国錦帯橋空港

平成6年山口県東部空港問題専門委員会を設置以来、長きにわたり、日米合同委員会及び岩国基地の軍民共用化について協議され、平成22年度から基地の一部と基地周辺の国有地を利活用し整備が開始された。日米専門委員会合意により、岩国から羽田間を、一日4往復が認められ、平成24年12月13日に開港予定である。待ちに待った記念すべき日を祝うべく、市内各地では祝賀ムードで、その日を楽しみに迎えようとしていた。

2 岩国基地との交流について

岩国基地との交流には、いろいろな手段を通じて実施しており、日米の相互理解と親善を深めるうえで各種事業を展開し多くの成果を収めている。

毎年5月5日に、市民と基地との交流を図るため、開催されている日米親善デーが代表的である。これは日本の祝日に基地を開放するもので、航空ショーや各種競技などが行われ、岩国市民をはじめ各地から、航空機や基地施設に興味がある人々や異国情緒を楽しみたい人々など、約26万5千人(平成22年度)が訪れており、市内観光面においても多大な貢献をしている。

4月に開催される、日本三名橋の一つである錦帯橋祭りには、米軍将兵や家族も参加し、伝統的な衣装をまとい、古式豊かな大名行列に彩りを添えている。また、10月には、岩国祭りが行われ、米軍将兵・家族も多く参加され、神輿やイベントを盛り上げている。

岩国基地内大学では、国際化時代に対応できる豊な教養と国際感覚を身につけた人材を育成するため、米国大学の分校が日本人学生を募集し、毎年数名が入学されている。

また、日米協会は、日米文化交流に関心を持った、米軍将兵・その家族及び市民により構成され、英会話講座・日本語講座が開かれ、また、相互間の親善旅行なども行われている。

昭和46年発足した、岩国日米協議会は、岩国市と岩国基地との緊密な協力、親善関係の促進、相互間の問題解決を図るため、岩国市・県・国の関係機関及び米軍で構成される事務連絡協議機関であり、その都度必要に応じ開催されている。

所見

平成18年5月、「在日米軍再編計画 日米ロードマップ」が示され、岩国基地海上自衛隊飛行隊等の厚木基地への移駐が発表された。この計画は 自衛隊員約700名、家族約900名、計約1,600名が移動する計画であり、発表と同時に岩国市及び議会並びに各種団体が一斉に、自衛隊残留要望書や転出移駐反対決議書を提出され、行政側も国家機関等へ残留要請活動を現在も継続実施中である。これらの現象は自衛隊隊員はその家族とともに、岩国市民として、従来から地元の経済・社会生活に大きく貢献し、近傍災害や災害発生時は拡大防止、救護活動あるいは安心・安全を守る組織員として、市民から期待されている現われであると思う。

また、岩国市の地理的特性として、行政面積が広大で、山や川・海と自然環境に恵まれ、単独市で基地を抱えており、自治体と県あるいは国家機関等の業務調整が迅速に対応されていた。

再編交付金は、岩国市では総額約150億円が平成30年度まで交付される。町には総額約11億3千万円、5市1町全体では約58億円が交付される。

なお、住宅防音工事に関しては、町は85W(WECPNL:うるささ指数。加重等価持続感覚騒音レベル。国際民間航空機関が定める騒音についての国際基準)以上の区域について平成6年3月31日までの建物が対象であるが、岩国市では80W以上の区域で平成23年3月31日までの建物が対象であった。

町においても、基地を抱えている自治体として、諸問題が生起した際は、間髪いれずに意見・提案等解決に向け、働きかけることが肝要と考える。

また、町においての、横田基地との交流として、各種事業を実施している。岩国市においても、中学生や一般の人々による、ブラスバンドやイベントを活用した基地との交流が活発に行われている。特に、軍人や家族あるいは岩国市民有志により、結成された、「日米協会」では独自な計画で、軍人家族による英会話講座や逆に市民有志による日本語講座などを開講し、互いに言語活動を通して異文化を相互理解することに力点をおき実施されていた。

その他、基地内に所在する米国大学部活用された留学制度は斬新的な制度であると考える。今後は大学のみでなく、我が国の教育制度上の問題点もあろうと思うが、その壁を乗り越え、希望者には幼少教育から高等教育まで、制度改革されることが望ましいと考える。

この度の研修を終え、町においても、基地交流に実をあげているが、地の利を活かし相互理解を深めると同時に国際感覚を幼少時から身につけ、あわせて言語教育を通し町民の文化交流を目指すべきと考える。

山口県岩国市の視察の様子の写真1
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